絶対見逃せない!寺社Now的注目の美術展2025【随時更新】

「仏教の思想と文化-インドから日本へ
特集展示:仏・菩薩の誓願(せいがん)と供養者の願い」

龍谷ミュージアム
2025年1月9日(木)〜2月16日(日)

仏教の約2500年の歴史を「アジアの仏教」と「日本の仏教」に分け、美術や文献を通じて紹介する。「アジアの仏教」では、釈尊の生涯を表した仏伝浮彫や仏教文献を中心に、思想の広がりや歴史的特徴を解説。大谷探検隊が持ち帰った資料を交え、地域ごとに仏教文化が受け入れられた過程を考察する展示も含まれる。特集展示では、「仏・菩薩の誓願と供養者の願い」に焦点を当て、仏教美術や経典を通じて仏や菩薩の救済と信仰者の供養行為を描き出し、人々の願いと信仰の姿を浮き彫りにする。

開創1150年記念特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」

東京国立博物館
2025年1月21日(火)~3月16日(日)

京都・嵯峨の地に平安時代初期、嵯峨天皇(786–842)が造営した離宮・嵯峨院を起源とする大覚寺。その後、貞観18年(876)に皇女・正子内親王の願いで寺院となり、密教の中心地として発展してきた。寺内にある宸殿は、元和6年(1620)に後水尾天皇に入内した東福門院和子の女御御所を移築したものと伝えられ、内部を飾る襖絵や障子絵は狩野山楽(1559–1635)の代表作として知られる重要文化財。本展では、これら120面以上の障壁画をはじめ、歴代天皇の書、平安後期の仏像を代表する明円作「五大明王像」など、密教美術の名品を一堂に展示。大覚寺の信仰と文化を物語る貴重な寺宝が紹介される。

「歴史画パラダイス」

京都府立堂本印象美術館
2025年1月21日(火)~2025年3月30日(日)

堂本印象(1891–1975)は生涯にわたり多くの歴史人物画を手がけ、特に法然上人を題材にした作品を数多く残している。浄土宗の信徒として御影の模写に取り組む一方、戦後には抽象画によっても法然上人を表現した。本展では、館蔵品の中から法然上人に関連する作品をはじめ、大正時代の代表作《維摩》、戦後第一作となる《太子降誕》、絶筆となった《善導大師》など、歴史人物を題材にした作品を中心に展示。堂本印象が描いた歴史と人物への独自の視点を探る機会となる。

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年記念特別展
「聖地巡礼―熊野と高野―」
第Ⅴ期 蘇りの地・熊野 ―熊野本宮大社・湯峯と熊野川―

和歌山県立博物館
2025年2月1日(土)~3月9日(日)

熊野速玉大社に伝わる国宝の神像や古神宝類を通じ、熊野信仰の歴史と文化的背景を探る特別展。平安時代前期制作の国宝「熊野速玉大神坐像」と「夫須美大神坐像」は、それぞれ威厳と優美を兼ね備え、祈りの象徴とされる名品。室町時代に足利義満らが奉納した国宝「古神宝類」から19件22点を展示。華やかな蒔絵手箱や化粧道具など、中世工芸の精髄が示される。また、阿須賀神社の懸仏や、宝物が守られてきた修理の歴史にも焦点を当てる。特別展に合わせ、常設展示室「熊野詣」コーナーでも関連展示を開催。神像や古神宝を通じ、熊野信仰の奥深さを体感できる。

特別展「魂を込めた 円空仏 ―飛騨・千光寺を中心にして―」

三井記念美術館
2025年2月1日(土)〜3月30日(日)

江戸時代前期、各地を巡り修行した円空は、木肌とノミ痕を活かした独特の神仏像を数多く残した。晩年を飛騨(岐阜県)で過ごし、千光寺をはじめ近隣で多くの像を制作。飛騨は「飛騨の匠」と称される技術と豊かな自然に恵まれ、円空が修行と仏像制作に励むのに適した地だった。本展では、円空が魂を込めて彫り上げた仏像を多数展示し、その魅力に迫る。

相国寺承天閣美術館開館40周年記念
「相国寺展—金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」

東京藝術大学大学美術館
2025年3月29日(土)〜5月25日(日)

室町幕府三代将軍・足利義満が1382年に創建した相国寺は、京五山禅林の夢窓派に属し、鹿苑寺(金閣寺)や慈照寺(銀閣寺)を擁する臨済宗相国寺派の大本山。創建から640年以上にわたり、多くの芸術家を育み、美術史に大きな影響を与えた。展覧会では、画僧・如拙や周文、雪舟、江戸時代の狩野探幽、伊藤若冲、円山応挙など、相国寺文化圏に関わる芸術家の名作を紹介。中世から現代まで続く美の営みを、相国寺、鹿苑寺、慈照寺の所蔵品を通じて紐解く。本展は承天閣美術館の開館40周年を記念し、相国寺文化の歴史と芸術を幅広く展示する企画となっている。

「超 国宝──祈りのかがやき──」

奈良国立博物館
2025年4月19日(土)〜6月15日(日)

令和7年(2025年)に130周年を迎える奈良国立博物館による初の大規模国宝展。神仏にまつわる祈りの造形に込められた先人たちの深い思いをテーマに、日本が誇る名品を紹介する。「超国宝」という名称には、時代を超えて伝えられた祈りや文化、そしてそれを継承する人々の心を宝とする思いが込められている。展示は、国宝約110件、重要文化財約20件を含む約140件の仏教・神道美術で構成。130年の歴史を超え、祈りと文化の灯を次世代へつなぐ意義が感じられる内容となっている。

特別展「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」

京都国立博物館
2025年4月19日(土)~6月15日(日)

日本美術の歴史における異文化交流の影響を多角的に紹介する特別展。仏教をはじめとする宗教的要素を反映した作品にも注目が集まる。平安時代の国宝《宝相華迦陵頻伽蒔絵そく冊子箱》は、空海が唐から持ち帰った経典を納めた品で、唐風の文様と日本的な意匠が調和した仏教美術の代表作。重要文化財《宝誌和尚立像》や、中国人仏師范道生による《十八羅漢坐像》など、仏教を通じた文化交流が生んだ作品も含まれる。さらに、国宝《風神雷神図屏風》や日本最大の銅鐸《突線鈕五式銅鐸》が宗教的背景を持つ造形物として紹介され、日本美術への影響が浮き彫りになる。仏教美術と異文化の融合を通して、日本美術が多様な文化的要素を取り込みながら発展してきた歴史を感じられる展示となっている。

大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念特別展「日本国宝展」

大阪市立美術館
2025年4月26日(土)~6月15日(日)

令和7年(2025年)春、大阪市立美術館のリニューアルオープンを記念し、約130件の国宝を集めた特別展。尾形光琳の《燕子花図屏風》、唐招提寺の《鑑真和上坐像》、金印、雪舟、若冲など、時代を超えて受け継がれた多彩な名品が展示される。これらの国宝は、何百年もの時を超えて伝えられた歴史と文化を象徴するもの。大阪ゆかりの国宝も取り上げられ、地域の文化的背景を改めて考える機会となる。また、文化財を守り、未来へ継承する意義にも焦点が当てられる。

企画展「はじめての古美術鑑賞―写経と墨蹟 ―」

根津美術館
2025年5月31日[土]~7月6日[日]
仏教文化を象徴する写経と禅僧の墨蹟をテーマに、その意義と魅力に迫る入門展。写経は仏教経典を一字一句丁寧に書き写したもので、祈りや修行の一環として行われ、墨蹟は禅僧が教えや精神を表現した簡潔で力強い書として知られる。写経と墨蹟が持つ宗教的価値や歴史的背景、そして美術としての魅力を名品を通じて紹介する展覧会。初めて古美術に触れる人にも楽しめる構成が特徴で、仏教と書の世界を身近に感じられる機会となる。

次ページ:2025年7月〜2026年1月開幕

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監修:全国寺社観光協会

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