北野天満宮や湯島天神など、全国で学問の神として祀られる菅原道真。累代の儒者の家に生まれた彼は、なぜ政治の世界で異例の出世を遂げたのか。また、なぜある日突然、大宰府に左遷されることになったのか。三善清行との確執や阿衡(あこう)事件で果たした役割、遣唐使廃止に至る真相など、さまざまな側面から等身大の道真像を描き、“神”の真の姿に迫る。
《出版社担当者さんより/「寺社Nowオンライン」読者の皆さんへメッセージ》
天神様・学問の神として知られる菅原道真の生涯を新たな視点から叙述。菅原氏の本姓である土師氏の時代から学問の道につながる要素を探り、曾祖父以来四代となる学者家系の勉学のあり方、形成が進む学閥の問題などに言及し、道真失脚の遠因に注目しました。地方官吏としての生活、遣唐使事業の終焉の様子などについては最新の研究成果を反映し、寛平の治における道真の実際の役割を見直し、左遷と神様への昇華にも新たな知見を示しています。
<目次>
・土師氏の願い―プロローグ
・父祖たちの足跡(土師氏の歴史〈伝承の時代/氏人の活動/負名氏としての土師氏/土師氏と喪葬儀礼/氏人の多彩な活躍/菅原の地との関係〉以下細目略/曽祖父から父まで)
・道真の立身(対策及第まで/文章博士として/讃岐守時代/阿衡事件)
・政治への参加(寛平の治/寛平度遣唐使計画/宇多朝から醍醐朝へ)
・左遷と死、そして天神様へ(昌泰の変/道真の死と怨霊から天神へ)
・その後の菅原氏―エピローグ
・関係人物略系図
・菅原道真略年譜
『天神様の正体〜菅原道真の生涯〜』
出版社:吉川弘文堂
著者:森 公章
発売日:2020年8月20日
定価:1,870円