漫画やアニメーションのルーツとも言われ、生き生きとした筆づかいで愛嬌たっぷりに動物達を描いた、国宝『鳥獣人物戯画絵巻』(鳥獣戯画)。老若男女を問わず広く知られている絵巻ですが、描かれた場面の意図や登場人物の関係性など未だ多くの謎に包まれています。本書は、鳥獣戯画全四巻のうちの甲巻について、「月が舞台」「『大唐西域記』にヒントがある」「明恵上人の真意」の3つをキーワードに、絵巻に込められた明恵上人の仏教への篤い信仰心や釈迦に対する尊敬と憧れの気持ちなどを読み解きます。「鳥獣戯画を見たことがあるけど、結局どういう内容で、動物たちはなぜ人間味があるの?」と思う方に読んでほしい、従来提唱されてきた諸説には無い新たな視点から鳥獣戯画のヒミツに迫る新解釈解説本です。
《出版社担当者より/「寺社Nowオンライン」読者の皆さんへメッセージ》
“日本美術史上最大の謎”と言われる「鳥獣戯画」には様々な所説がありますが、本書ではこれまでにない新しい解釈を展開します。宮川先生は考古学の研究者ですが、「“考古”とは“むかしのもの全般”だと思っているから、どの分野も私の研究の対象になるんです」とのこと。その言葉通り、考古資料や絵画、典籍といった幅広い分野の史料から、謎多き鳥獣戯画の解明に独自の視点で挑み、大胆かつ文学的に、その”ヒミツ“を解き明かされました。本書を読めば「動物たちの正体」と「物語の真意」に迫った宮川説に頷いてしまうでしょう。
『鳥獣戯画のヒミツ』
出版社:淡交社
著者:宮川禎一
発売日:2021年2月5日
定価:1,870円