浮世絵でバズる流行りの神仏「信じるココロ〜信仰・迷信・噂話」太田記念美術館の挑戦|noteでオンライン展覧会も同時展開!

Ⅱ 江戸のイベントと信仰

江戸の市中では一年を通じて、さまざまな信仰にちなんだ行事が毎月のように催され、それらを題材とした浮世絵が数多く描かれた。

豊原国周「成田不動尊御着御道筋諸人群集図」 大判錦絵3枚続 明治6年(1873)。成田山新勝寺は歌舞伎の名門・市川団十郎家代々と関わりが深く、しばしば出開帳が行われ、江戸でも広く親しまれた。図は明治6年(1873)6月の出開帳を描いたもので、九代目市川団十郎をはじめ、人気役者が講中を組んで参詣している

Ⅲ 江戸の旅と信仰

江戸の庶民は市中にとどまらず、江戸の外にも足をのばしてさまざまな神社仏閣を参詣した。浮世絵はガイドブックの役割も果たし、人々を寺社参詣の旅へと誘った。

左)葛飾北斎「諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧」大判錦絵 天保4年(1833)頃。神奈川県中央部に位置する大山は、山岳信仰の聖地として知られ、大山講という講を組んで大山詣をした。江ノ島詣とセットで参詣されることも多かった。右)歌川広重「名所江戸百景 目黒新富士」 大判錦絵 安政4年(1857)4月。江戸の町には大小さまざまな富士塚が各所にあり、実際の富士山に登拝する代わりに近隣で富士詣をした

歌川広重「伊勢参宮宮川の渡し」 大判錦絵3枚続 安政2年(1855)4月。伊勢参りは人々の憧れであり、人々は講を組んで伊勢へと赴いた。浮世絵は、憧れを募り、また記念となった

Ⅳ 浮世絵と尊像

浮世絵では、歴史上の人物でありながら神格化され、信仰の対象となった菅原道真や加藤清正など民間信仰で親しまれた尊像も題材となった。実際に床の間などに飾られるケースも多かったと思われ、掛軸の形で遺存する作品も見られる。

左)歌川芳員「清正公大神儀」 大判錦絵竪2枚続 嘉永~慶応(1848~68)頃 個人蔵。右)歌川芳虎「大政威徳天満大自在天神」 大判竪2枚続(軸装) 江戸時代末期(1844~68)頃 個人蔵

会場
太田記念美術館
会期
2022年2月4日(金)〜2月27日(日)
開館時間
10:30~17:30(入館は17時まで
休館日
月曜日(会期中:2月7、14、21日)
料金
一般 800円 大高生 600円 中学生以下無料
住所
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-10-10
●JR山手線「原宿」駅、表参道口より徒歩5分
●東京メトロ千代田線、副都心線「明治神宮前」駅、5番出口より徒歩5分、ラフォーレ原宿裏
問い合わせ050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

太田記念美術館noteオンライン展覧会

 太田記念美術館では、noteを活用したオンライン展覧会を同時展開、全56点の画像および作品解説をすべて公開している。一度記事を購入すると無期限で閲覧可能だ。
 企画展を毎月開催している太田記念美術館にとって、図録を毎回制作して販売することは、コストやスケジュールを考えるとあまり現実的ではない。しかし実際は、担当学芸員を中心に展示のための解説文やパネル制作など、図録1冊をつくるのに匹敵する研究調査と周到な準備をしている。ところがその成果物は会期中の会場でしか見ることができず、あとから振り返ることもできないというのがこれまでの常識だった。
 これは各地のどのミュージアムでも同じことだが、太田記念美術館は、そうしたこれまでのミュージアムの常識を打ち破り、新たな文化的価値を生み出そうとチャレンジしている。

〈太田記念美術館〉noteオンライン展覧会>>>https://otakinen-museum.note.jp/m/m39d9723cc887

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監修:全国寺社観光協会

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