計1700頁の大作。古典的文献、祭祀や神社の由来、用語の解説など多岐にわたり、貴重な写真や図と共に収められている!
古代では国全体を清める大祓
日本人は常々、めぐる季節や暦の区切りによって気持ちを一新してきました。四季があることは有難いことです。今年ももう半年近くが過ぎ、大祓(夏越しの祓)の季節がやってきました。
七○一年、大宝律令が制定され、他のお祭りと一緒に「大祓」も法律により実施が定められ、平安時代、毎年六月と十二月の晦日に、京都御所の朱雀門で、大祓式が行なわれました。皇族、大臣以下役人らが集い、大祓詞が奏上され、国全体を祓い、蘇生することを信じ行なわれたものです。
現代の夏越の祓
夏越の祓として、現在神社で、茅の輪を境内に作り、それをくぐると厄除けになるというものがあります。平安期の文献には記載がないのですが、一条兼良(関白太政大臣を経験し古典に通じた当代随一の学者)が一四二二年に著した『公事根源』に、 「水無月の夏越しの祓する人は 千歳の命 延といふなり」と唱えながら、輪を越えることが記載されています。
茅の輪の起源は古く、『備後国風土記』に出てきます。風土記は、奈良時代初期に作られた各地方の古い伝承を集めた本です。出雲国風土記の全て、常陸・播磨・豊後・肥前の各風土記の一部が現存しています。
『備後国風土記』そのものは現存していませんが、他の本の中に、引用されて残っており、武塔神と蘇民将来という人のお話です。
物語は、北の海の武塔神が南の海にいる神の娘を妻にしようと出発し、ある場所で日が暮れたので、宿を求めたところ、蘇民将来という兄弟がいて、裕福な弟は断り、貧しい暮らしをしていた兄は快く宿を貸して、粟殻の座布団と栗の飯で歓待しました。そして、武塔神は南の海で何年か過ごした後、帰りに八人の御子神を連れて蘇民将来の家に寄り、自分を歓待した蘇民将来の家族には茅で作った輪を腰に着けさせ、これを着けた蘇民将来の家族を除いて、他の全員を殺し滅ぼしてしまいました。
この武塔神はスサノオの神と名乗り、今後、悪い流行病があった時は、蘇民将来の子孫として茅の輪を腰に着けている者は、病気から逃れることができると言ったというお話です。
八世紀末頃の「蘇民将来の子孫者」と書かれた木簡も発見されています。
『神道大辞典』電子書籍で現代によみがえった名著、日本文化、神道に興味のある方へ
『神道大辞典』は、昭和12年(1937年)から15年(1940年)にかけて平凡社より出版された、神道に関する辞典(全3巻)、計1700頁の大作です。古典的文献、祭祀や神社の由来、用語の解説など多岐にわたり、貴重な写真や図と共に収められています。膨大な神道の資料をまとめるに当たって出版を危ぶまれた時期もありましたが、皇紀2600年(昭和15年)の祝典記念として出版されました。
出版にあたり昭和13年、出版当時の平凡社社長であった下中弥三郎氏は、序文「神道大辞典を世に送る」で、出版の意義を次のように述べています。
郷村には必ず神社があり、祭が行なわれている。しかし、その祭神が何であるか、その由緒は、となると、明白ではない。国民にも、精神の指導の立場にある人々にすら認識が極めて不十分である。しかし、その事実を咎める前に、外国文化の吸収に急なるがために、神道研究に関して怠ってこなかったか、を考えてみなくてはならない。仏教、キリスト教に関しては膨大に大辞典が刊行されているにも関わらず、神道に関しては、同社(平凡社)が出版した山川鵜市氏著の『神祇辞典』のみで、好著であるものの規模が小さい為、改めて大辞典を関係各位の協力を得て、出版するに至った。(内容要約)
このように神職や神道に興味のある人にとっては必携の書にもかかわらず、本書は残念ながら絶版です。そこで、桜の花出版では、この貴重な文献を、電子書籍として復刻させました。
本書デジタル版は、国立国会図書館が所蔵し、近代デジタルライブラリーとしてインターネット上に公開している資料を、元のデータの画面が歪んでいる部分は補正して見やすくし、利便性を高めるため、まとめたものです。写真や図、またルビが多いため、それを残すため、検索機能はつけず目次を付記しました。
オリジナルの紙の書籍は極めて入手困難で(ほぼ不可能)、全3巻と重量感がありますが、電子書籍化により、この名著が広く活用される機会が増え、歴史ある日本文化や神道の理解の一助になれば、幸いです。
『神道大辞典』全三巻合本
書籍:『神道大辞典』 全三巻合本 Kindle版
出版社 : 桜の花出版
発売日 : 2016/5/20
言語 : 日本語
ページ数:1700ページ
価格:3,300円
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
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