お坊さんが仕掛け人!博多の商店街がSDGsな「リトルアジアマーケット」に大変身!

国により仕様の異なる仏さま。そこに、親しめない人がいた

あるとき、お寺にやってきた近くに住むカンボジア人やタイ人、ベトナム人から、「この街は私たちを受け入れてくれています。しかし、私たちが仏さまに手を合わせる場所がありません」と悩みを打ち明けられた。

「いやいや、福岡は全国でも有数のお寺が多い街だから、仏さまはいくらでもいるよ、と返したのです。ところが彼らは、それらはあくまで日本仕様の仏さまで、できることなら私たちが慣れ親しんだ仏さまに心を込めて手を合わたい、と」

福岡県庁の最寄り駅であるJR吉塚駅からほど近い現地は、外国人居住者が多い街でもあり、キャンドルナイトの影響もあってか、西林寺にもさまざまな国の人が顔をのぞかせるようになっていた。そのため住職は、寺が国際交流の場になってきたと感じていた。しかしまだこのときは、手を合わせる人の「心」まで考えていなかったことに気付いていなかった。

市場のシャッターには、子供たちと外国人留学生が描いたカラフルな花の絵が並ぶ

西林寺では、キャンドルナイトとは別に地域の子どもたちを対象にした「こどもキャンドルナイト」も毎年実施している。

令和元年(2019)にはお寺を飛び出し、商店街を巻きこんだ「吉塚商店街・景観再生プロジェクト」の一環として、商店街のシャッターに子供たちと絵を描いて街を明るくするという活動を展開。寺で支援しているカンボジアの小学校で描いてもらった絵をシャッターに大きく模写し、そのまわりに地元吉塚の子供たちが絵を描いて完成させるというワークショップである。

気が付くと近くの語学学校へ通う外国人留学生も積極的に参加して手伝ってくれるようになり、いつの間にか、商店街の人たちと留学生との距離が縮まっていった。

「この頃の吉塚商店街は、どんどん店が減っていき、シャッターや空き地が増えていました。かつて賑やかだった時代を知っている者としては、ものすごく寂しいですし、それに防犯上もいいことはありません。そんなときに、ワークショップで商店街の人たちと触れあう外国人の姿を見ていて、増え続ける外国人と商店街が手を取り合っていければ、吉塚商店街はこれからも生き続けることができるのではないか、と考えたのです」

しかし、これだけで彼らの居場所をつくることができるのだろうか?

安武住職は、心のどこかにそんな漠然としたモヤモヤを抱えたままでいた。そうしたある日、住職の何気ないひと言で、さびれゆく吉塚商店街が再生へ向けて動き出すことに—。

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監修:全国寺社観光協会

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