いざ小豆島へ
そもそも香川県の小豆島にある小豆島霊場は、弘法大師空海が生まれ育った讃岐(現在の香川県)から京都を往復する際に、しばしば立ち寄って島の各所で修業や祈念を行なった霊場とされています。
そのため「新四国」「写し四国」と呼ばれるものとは違い、「元四国」とも呼ばれています。88ヶ所に奥の院6ヶ所を含めた94ヶ所が公認霊場(寺院霊場30、山岳霊場10余、堂庵50余)となっています。
ということで、妹と2人で大阪から高速バスで瀬戸内海の絶景を眺めながら高松まで行き、レンタカーを借りて高松港からフェリーで小豆島の土庄港へと渡りました。
小豆島滞在中の宿は、ネット検索で見つけた「ペンションL&M」に。1階はライブハウスで、2階が宿泊フロア。各部屋にお風呂やトイレがあり、しかもお安い。素泊まりでしたが、近くにスーパーや百均、レストラン、スーパー銭湯が入っているショッピングモールがあって、ライブがあるときは少しだけ賑やかかもしれませんが、まったく不便はありませんでした。
まずは「受戒」から!
小豆島八十八ヶ所が四国八十八ヶ所と違うところはいろいろあるのですが、何よりもまず初めに、土庄港の近くにある小豆島霊場会総本院の2階の授戒道場で、巡礼者は「授戒」を受けてから巡拝に出るのが習わしとされていることです。
「授戒」を受けるには予約が必要と聞いていたので、小豆島に行く前に小豆島霊場会総本院に予約の電話をかけました。すると「授戒していただくのは、どのお坊さんがいいですか?」と思わぬ質問が。えっ指名できるの…と一瞬びっくりしたものの、事前に相談に乗ってもらっていた慈空さんを指名して事なきを得ました。もっとも、知り合いのお坊さんがいなくても特に問題はないようですのでご安心を。
授戒の所要時間は、およそ30分。予約の時間は、余裕を見て14時からでお願いしました。フェリーの到着予定は12時35分だったのですが、万が一、1時間に1本程度のフェリーに乗り遅れたり、遅延があった場合に備えてのスケジューリングです。
ちなみに授戒の料金は、1人から15人までグループで3千円。16〜25人はグループで5千円。26人以上は1人あたり200円。「授戒」は、これまでにも高野山で受けたことがあるのですが、高野山は真っ暗闇の中で行われ少し怖かった記憶があります。一方こちらは、カーテンを閉めても真っ暗にはならず、そのため受戒の儀式の様子も伺えて貴重な経験となりました。
授戒とは、遍路を行うにあたり心得るべき「菩薩十善戒」を授かる儀式です。
【菩薩十善戒】とは
不殺生(ふせっしょう)…生きものを殺さない
不偸盗(ふちゅうとう)…盗まない
不邪淫(ふじゃいん)…淫らな行いをしない
不妄語(ふもうご)…嘘をつかない
不綺語(ふきご)…お世辞などを言わない
不悪口(ふあっく)…悪口を言わない
不両舌(ふりょうぜつ)…二枚舌を使わない
不慳貪(ふけんどん)…むさぼらない
不瞋恚(ふしんに)…怒らない
不邪見(ふじゃけん)…間違ったものの見方をしない
日本遺産「せとうち石の島」の山岳寺院
小豆島八十八ヶ所が四国八十八ヶ所と違う2点目は、山上の石崖の洞窟に本尊を祀る「山岳寺院」が多くあるということです。
小豆島は、日本遺産「せとうち石の島」のひとつでもあり花崗岩が豊富なところ。山肌から海岸まで、至るところで巨石がむき出しになっています。大坂城を支える石垣にも使われました。小豆島をめぐると、今も採石されている、現役の石切場をあちこちで見かけることができます。
もう1つ、小豆島八十八ヶ所の四国八十八ヶ所と違う点を挙げると、奥之院等を含めて94カ所のすべてが、弘法大師空海が開いた真言宗であるということです。そのため、四国でよく見るように弘法大師をお祀りする「大師堂」を別に構えるのではなく、ほとんどの寺院が「本堂」に弘法大師をお祀りしています。
さらにもう1つ、小豆島八十八ヶ所の四国八十八ヶ所と違う点があります。それは、1カ所で2つの札所というケースが複数あることです。寺院は全部で30ヶ所で、それ以外は地域の方々などが管理されていて、常駐されていない堂庵が多くなっています。
そのため堂庵の御朱印は、まとめてその近くの寺院で押していただくことになります。小豆島霊場納経帳は、はじめから墨書きが印刷されているので、寺院でお寺の方が不在の場合は、自分で印を押すシステムになっています。
では、スペースに限りもあるので、今回巡った小豆島八十八ヶ所のうち、特に印象に残った札所についてご紹介しましょう。