東本願寺17棟・天満宮・櫻井神社・髙祖神社ほか重文(建造物)指定へ!

国の文化審議会は、2023年(令和5)6月23日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、1件の建造物を国宝に新規に指定し、8件の建造物を重要文化財に新規に指定し、また、あわせて3件の建造物定(件数は変更なし)を重要文化財に追加指定することを文部科学大臣に答申した。この結果、国宝・重要文化財(建造物)は、2,565件、5,406棟(うち国宝231件、295棟)となる予定だ。なお、今回発表のうち、寺社関連は5件となる。

【重要文化財 新指定の部】(寺社関連抜粋)

▪天満宮(2棟)

本殿・幣殿・拝殿、末社春日社本殿
所在地:群馬県桐生市
所有者:宗教法人天満宮

濃密な装飾が施された近世後期の北関東を代表する神社建築(近世以前/神社)
重要伝統的建造物群保存地区・桐生市桐生新町の北端に位置する神社。桐生新町の町立(まちだて)に際して遷座された。寛政元年(1789)建立の本殿は、二十四孝、唐子遊びをはじめとした彫刻や彩色等の装飾で埋め尽くされる。近世の北関東において発達した神社建築装飾が、江戸後期に爛熟する様相をよく示す。計画絵図、発注書、棟札があわせて伝わる点も重要。末社春日社本殿は、軒桁、垂木の反り増しなど、遅くとも17世紀初期の建立と見られる特徴をよく示し、群馬県下における希少な遺構である。
○指定基準=歴史的価値の高いもの、流派的または地方的特色において顕著なもの

▪真宗本廟東本願寺内事(3棟)

洋館、日本館、鶴の間
所在地:京都府京都市
所有者:宗教法人真宗大谷派

先進的な意匠を取り入れた武田五一設計の壮大な二世帯住宅(近代/住居)
京都市下京区に位置する、武田五一によって設計された、大正12年建築の東本願寺宗主とその子弟のための大規模な二世帯住宅。洋館は、我が国におけるセセッション受容の代表作の一つであり、細部意匠を含めて造形の特徴をよく捉え、フランク・ロイド・ライトの造形を取入れた初期事例としても特筆される。日本館は、建築家による和風住宅の好例であり、伝統的な形態に近代的な細部意匠を採用し、全体として格式張らず、軽快な空間をつくる。稀代のデザイナー武田五一による和洋を併設した住宅として、意匠的に優秀である。また、鉄筋コンクリート造の住宅として最初期の事例であり、歴史的価値が高い。
○指定基準=意匠的に優秀なもの、歴史的価値の高いもの

櫻井神社(3棟)

本殿、拝殿、楼門
所在地:福岡県糸島市
所有者:宗教法人櫻井神社

古墳前方に並ぶ独特の構成を持った江戸初期の社殿群(近世以前/神社)
櫻井神社は玄界灘に突き出た糸島半島に位置する。古墳の上に覆屋を架け岩戸宮と称し、前方に本殿、拝殿、楼門を並べる独特の構成を持つ。創建から程なく整備された社頭景観をほぼそのままに残す希少な神社遺構として価値が高い。寛永9年(1632)建立の本殿は三間社としては規模が大きく、組物や四手先の腰組などは江戸初期の整った意匠を持ち、組物や蟇股彫刻等を極彩色で豊かに飾る。拝殿も平面や開放的な建具の扱いに地域色をみせ、質実なつくりの楼門とともに、福岡藩直営にかかる質の高い社殿群として評価できる。
○指定基準=流派的または地方的特色において顕著なもの

▪髙祖神社本殿(1棟)

所在地:福岡県糸島市
所有者:宗教法人髙祖神社

中世に遡る県下最古級の希少な神社本殿(近世以前/神社)
髙祖(たかす)神社は、福岡県西端の糸島市と福岡市の境にある高祖山の西山腹に位置する。創建が平安時代前期に遡るとされる古社で、中世は高祖城を本拠地とする原田氏、近世以降は福岡藩黒田氏の崇敬を受けた。本殿は天文10年(1541)の建立で、元亀3年(1572)、寛文2年(1662)に改修があったが、身舎軸部、装飾ともおおむね元亀までの姿をとどめている。現存する県下最古級の神社本殿であり、中世に遡る希少な神社本殿遺構として歴史的価値が高い。
○指定基準=歴史的価値の高いもの

【重要文化財 追加指定の部】(寺社関連抜粋)

真宗本廟東本願寺(14棟)

宝蔵、大玄関及び大寝殿、白書院、黒書院、宮御殿、桜下亭、能舞台、議事堂、表小書院、菊門、玄関門、寺務所門、内事門、十三窓土蔵
所在地:京都府京都市
所有者:宗教法人真宗大谷派

上質な意匠と格式を備えた近代随一の大規模寺院殿舎群(近代/宗教)
真宗本廟東本願寺は、真宗大谷派の本山寺院で、慶長7年(1602)、徳川家康が寄進した現在地に東本願寺が分立して境内が整備された後、4度に及ぶ罹災の度に門徒の篤い信仰のもと伽藍を再興した。元治の大火(1864)後も創立以来の境内構成を踏襲しつつ、遠忌などの節目に伽藍を充実し、御影堂、阿弥陀堂などの堂舎群と大玄関及び大寝殿などの殿舎群は、境内を画する築地塀や諸門とともに、近世来の規模と形式を遵守し、伝統を色濃く残した境内構成と景観を呈する。さらに、亀岡末吉設計の白書院、黒書院、菊門、宗議会議場である議事堂、数寄屋風の洗練された意匠を持つ桜下亭などは近代の和風意匠の充実や近代的な機能の付与を示し、近世以来の境内構成を受け継ぐ本山寺院が、近代化を受容し、重層化した過程を知る上で歴史的に重要である。上質な意匠と格式を備えた近代随一の大規模寺院殿舎群として高い価値を有している。
○指定基準=意匠的に優秀なもの、歴史的価値の高いもの

出所:文化庁「文化審議会の答申(国宝・重要文化財(建造物)の指定)」令和5年6月23日

関連記事

監修:全国寺社観光協会

    よく読まれている記事

    寺社関連プレスリリース

もっと読む

    クラウドファウンディング

もっと読む

    ミュージアム・イベント

もっと読む

    寺社Nowの書棚-Books-

もっと読む