野心的!過去と現在と未来をつなぐ!九州国立博物館「最澄と天台宗のすべて」開幕レポート

内覧会当日に開催された記者会見場にて、左)比叡山延暦寺 執行・水尾寂芳師、右)天台宗 宗務総長・阿倍昌宏師

太宰府天満宮に隣接する九州国立博物館(右下)へのアクセスは、西鉄福岡〈天神〉駅(左上)を起点に西鉄太宰府駅へ。徒歩で太宰府天満宮参道(右上)をぶらぶらと散策しながら太宰府天満宮(左下)に参詣して、境内の山の斜面をのぼる長いエスカレーターを乗り継いで行くルートがおすすめ

九州国立博物館(福岡県太宰府市)で、特別展「最澄と天台宗のすべて」が開幕した。天台宗の総本山・比叡山延暦寺をはじめとする全国各地に伝わる秘仏や仏画、書跡など国宝24件、重要文化財68件を含む天台の至宝115件が、太宰府の九博を会場として一堂に会する[会期:2022年3月21日(月祝)まで]。

本展は、伝教大師1200年大遠忌を記念した特別展で、昨年の東京国立博物館を皮切りに、今回の九州、そして4月には京都の国立博物館を巡回する。開祖の伝教大師最澄以来、日本の天台宗が現在までたどってきた、まさに日本の仏教そのものともいえる壮大な法脈とその広がりを追体験することができる「野心的な」(比叡山延暦寺・水尾執行談)機会となる。

にしても、開幕前日の内覧会を訪れて驚いた。
昨年の東京会場を体験している者として、うかつにも油断していた。

左)会場では、比叡山延暦寺・根本中堂の内陣にある「不滅の法灯」が再現されていて、実際には足を踏み入れることができない内陣の雰囲気を体感することが可能だ。右)重要文化財「聖観音菩薩立像」 平安時代・12世紀(滋賀・延暦寺蔵)。ふだん見慣れているはずの延暦寺の僧侶でさえ、博物館での展示は新たな気づきをもたらせてくれる。写真右の左手前は、九州国立博物館の島谷弘幸館長。学芸員として駆け出し時代、ベテラン時代、そして今回館長として、これまでに最澄や天台宗の大きな展覧会に3度も関わってきた

「不滅の法灯」の部屋に、伝教大師最澄がその著書『山家学生式(さんげがくしょうしき)』に託したメッセージが掲示されている。最澄は『法華経』を基調とする日本天台宗を開くにあたり、人々を幸せへと導くために「一隅を照らす国宝的人材」を養成したいという熱い想いを著述し、嵯峨天皇に提出した。 自分の持てるチカラを発揮して、一隅を照らす人になる。そういった〝人〟こそが国の宝であり、明るい社会をつくるのだと。それが伝教大師最澄の教えであり、また願いでもあった

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監修:全国寺社観光協会

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