第5章:中世以降の大安寺
第5章では、かつて大安寺にあった宝物などが展示されています。
国宝「金銅透彫舎利容器」(奈良・西大寺)
透かし彫りの文様の美しさが特徴的な国宝「金銅透彫舎利容器」は、現在は奈良市の西大寺所蔵ですが、かつては大安寺にあったことがわかっています。大安寺にはこの舎利容器を祀るための舎利殿もあったんだそうです。
重要文化財「四天王立像」(香川・鷲峰寺、大分・永興寺)
展示会場の出口付近に、四天王立像が2組展示されています。奈良の大安寺から遠く離れた大分の永興寺(りょうごじ)と香川の鷲峰寺(じゅうぶじ)の四天王立像が、なぜ大安寺展に出ているのか疑問を感じていました。ところが……
その2組の四天王立像の扇の要の位置に、興福寺の四天王立像が写真パネルで展示されているのですが、それが答えでした。
そうなんです。超有名な興福寺北円堂の四天王立像は、もともとは大安寺にあったことがわかっています。台座の裏面に「これは大安寺四天王像で、延暦10年(791)4月に造立した」ということが墨で書かれているんです。
どのような経緯で大安寺から興福寺に移されたかは不明ですが、当時、四天王立像は大変人気があったようで、その模刻像として造られたのが、大分と香川の四天王立像だったんです。言われてみると、たしかに興福寺北円堂の四天王立像と、ポーズが似ていることに気付かされます。
・・・などなど、しばし時を忘れてミュージアム巡礼していると、新たな発見や驚き、気付かされることばかりです。かつて日本仏教の一大拠点であり、国際的な仏教の学びの場でもあった「大安寺のすべて」が目の前に浮かび上がってくるかのようで圧巻です。一人でも多くの方に「大安寺のすべて」を体感していただければと思います。
そうそう、充実の会場を後にしたら、ぜひ、大安寺へも足を延ばしてみてくださいね!
奈良国立博物館「大安寺のすべて ― 天平のみほとけと祈り ―」
会期 | 2022年4月23日(土)〜6月19日(日) 前期:4月23日(土)~5月22日(日) 後期:5月24日(火)~6月19日(日) |
開館時間 | 9時30分~17時 4/29(金)~5/7(土)は19時まで ※入館は閉館の30分前まで ※名品展とは開館時間が異なります |
料金 | 一般 1,800円 |
休館日 | 毎週月曜日 ※ただし5/2(月)は開館 |
公式サイト | https://www.narahaku.go.jp/ |
会場 | 奈良国立博物館 東西新館 |
住所 | 〒630-8213 奈良県奈良市登大路町50 050-5542-8600(ハローダイヤル) |