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左)チラシデザイン、右)當麻寺のある奈良県葛城市のマスコットキャラクター、中将姫をモチーフにした「蓮花ちゃん」もプレスプレビューに駆けつけた [撮影:寺社Now]
奈良国立博物館の特別展「中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―」が開幕した。
本展は、奈良・當麻寺(たいまでら)の本尊、国宝「綴織當麻曼荼羅(つづれおり・たいままんだら)」(奈良時代・8世紀)のもっとも精密な写しである重要文化財「貞享本(じょうきょうぼん)當麻曼荼羅」(貞享3、1686年)の修理完成を記念して開催される【会期:2022年7月16日〜8月28日】。
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上段・中段)開幕を前にして當麻寺の僧侶らにより法要が営まれた。中段・下段)川中光教(かわなか・こうきょう)當麻寺奥院住職 [撮影:寺社Now]
當麻曼荼羅(たいま・まんだら)・・・それは、奈良時代の伝説の少女・中将姫(ちゅうじょうひめ)が、一夜にして紡いだと伝わる奇跡の曼荼羅。
継母に捨てられ、艱難辛苦を味わった中将姫は、阿弥陀如来と観音菩薩の助けにより曼荼羅を完成させ、その功徳のおかげで「女性は成仏できない」と言われていた時代にあって、生きながらに極楽浄土に招かれて女人成仏した。
人々は、中将姫を〝生きながら極楽浄土を見た少女〟と慕い、慈しみ、當麻寺の背後にそびえる二上山へ沈む夕日に西方極楽浄土へのあこがれの思いを重ね続けてきたのである。
極楽浄土のイメージをビジュアル化した當麻寺の當麻曼荼羅は、数多くの写しが制作され、中将姫の物語と共にわかりやすく浄土信仰を広めるメディアとして機能してきたと言えよう。
日本国語大辞典【中将姫】
奈良当麻(たいま)寺に伝わる曼荼羅を織ったとされる伝説上の女性。横佩(よこはき)の大臣・藤原豊成の娘。天平年間(七二九~七四九)当麻寺に入山し仏行に励んだ姫は、その徳により仏に会い、一晩のうちに蓮華の糸で曼荼羅を織りあげ、女人の身ながら極楽往生したと伝えられる。姫の出家の動機を後妻による継子虐待の物語とした歌舞伎、浄瑠璃、謡曲などが知られる。
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重要文化財「當麻曼荼羅(貞享本)」 江戸時代・貞享3年(1686) 奈良・當麻寺蔵
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上段)左手に見えているのは「當麻曼荼羅」江戸時代・享保6年(1721) 福井・正覚寺蔵、右は「當麻曼荼羅」江戸時代・貞享元年(1684) 奈良・徳融寺蔵。このように、當麻寺の當麻曼荼羅の写しにより浄土信仰が各地に広まっていった。中段左)「中将姫坐像」室町時代・永禄元年(1558) 奈良・當麻寺蔵、、中段右)本展を担当した奈良国立博物館学芸部 主任研究員・北澤菜月さん(専門:仏教絵画史)。下段)国宝「當麻曼荼羅厨子扉(裏)」鎌倉時代・仁治3年(1242) 奈良・當麻寺。下方に2,150余名にものぼる結縁者の名が記されている。當麻曼荼羅信仰の広がりをうかがい知ることができる [撮影:寺社Now]
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上段)会場展示「津村順天堂 中将湯引札」明治34年(1901)茨城・ツムラ漢方記念館蔵。奈良県宇陀市を発祥之地とする津村順天堂(現・ツムラ)の創業は、中将姫のイメージを取り入れた婦人薬 「中将湯」の販売から始まった。ツムラでは、現在も中将湯を販売している(https://www.tsumura-hieshou.jp/product/chujoutou.html)。 下段左)ミュージアムショップで期間中、「中将湯」の商品デザインをモチーフにした各種の絵はがきも販売。下段右)ツムラが販売している入浴剤「中将湯・くすり湯バスハーブ」(https://www.taimadera.org/purpose/4/p4_12.html) ちなみに當麻寺が所在する奈良県葛城市の當麻は、胃腸の良薬「陀羅尼助(だらにすけ)」を創薬した役行者(えんのぎょうじゃ)が練行の地として開いた土地で、當麻寺に役行者秘伝の陀羅尼助が伝わっている(https://www.taimadera.org/purpose/4/p3.html) [撮影:寺社Now]
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極楽浄土信仰の拠点、當麻寺(たいまでら、奈良県葛城市當麻)は、ふたこぶの頂きを持つ二上山(にじょうさん)の東麓に位置し、真言宗と浄土宗の両宗により護持されている。上段)「二上山」(香芝市HPより)。下段左)境内の中将姫像。下段右)日本で唯一現存している古代の東西双塔(国宝)が見える。本展会期中、初層の特別開扉が行われている(期間中の土日祝のみ特別開扉)
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當麻寺本堂「曼荼羅堂」(国宝) ※當麻寺HPより
開館時間 | 9:30~18:00(入館は17:30まで) 毎土曜日は19:00まで(入館は18:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日 ※ただし8/15(月)は開館 |
公式サイト | https://www.narahaku.go.jp/ https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/special_exhibition/202207_chujo/ |
会場 | 奈良国立博物館 西新館 |
住所 | 〒630-8213 奈良県奈良市登大路町50 050-5542-8600(ハローダイヤル) |
當麻寺HP |