令和6年9月14日(土)より11月4日(月祝)まで岐阜県高山市 国指定重要文化財 日下部民藝館にて
公益財団法人日下部民芸館(岐阜県高山市)は令和6年度特別展「落合陽一 どちらにしようかな、ヌルの神様の言うとおり:円環・曼荼羅・三巴」展を令和6年9月14日(土)より11月4日(月祝)まで岐阜県高山市 国指定重要文化財 日下部民藝館にて開催いたします。
重要文化財日下部家住宅は、昭和41年より日下部民藝館として建物の公開と日下部家所蔵の文物を展示、また建物を活かした多様な文化事業を行っています。柳宗悦が提唱した「民藝運動」の思想に共感した初代館長、日下部禮一の思いを受け継いで、日本人の自然への共鳴する心、各地の風土から生まれる人々の生活の美を見いだした「民藝」が示すものの見方、考え方、共に生き、自由である暮らしの規範を日々の活動を通して具現化することを目指しています。
令和3年から始まった、ヒューマンコンピュータインタラクション研究の第一人者であり、メディアアーティストの落合陽一と日下部民藝館のコラボレーションは、飛騨の地で育まれてきた歴史や自然、伝承された数多く物語を考察することによって浮かび上がった優れたモチーフを、落合が探求している「デジタルネイチャー」の思想と掛け合せ、重要文化財日下部家住宅の空間全体を用いてインスタレーション表現をする、他に類をみない独自のアートプロジェクトです。令和4年度の「遍在する身体 交錯する時空間」展、令和5年度の「ヌル即是計算機自然:符号化された永遠, オブジェクト指向本願」展に続き開催する本展は、日本の伝統文化とデジタル技術の融合を探求し、日下部民藝館の地で落合陽一の哲学を没入的インスタレーションとして体験することを目指すものです。
展覧会の見どころ
落合陽一は「デジタルネイチャー(計算機自然)」という独自の概念を通じて、テクノロジーと自然、人間と機械の新たな関係性を提示し続けています。日下部民藝館での数年の展覧会の特徴の中に、昨年から続くプログラミングの「ヌル」概念と東洋哲学の「空」の思想を結びつけた表現があり、今回も「ヌルの神様」という表現でそれが物象化します。
・国指定重要文化財の日下部家住宅にヌルの神様の神社を創建する。
本展では、神道と仏教の習合を現代的に解釈し、デジタル技術と融合させる試みが展開されています。例えば、神社の鳥居や仏閣をモチーフにしたインスタレーションが、コンピュータ制御のシンセサイザーと連動し、伝統と革新が交錯する空間を創出します。また、「あめつち歌」や「いろは歌」といった日本の伝統的な言葉遊びをデジタル技術で再解釈する作品群は、古来の文化と最新技術を融合させることで、計算機自然における日本文化の新たな表現方法を提示しています。
・円空シンセサイザーという祈りの形
落合氏の作品は、音楽、数学、プログラミング、哲学が交錯する多層的な構造を持っています。「万物がシンセサイザーである」という発想は、ジョン・ケージの実験精神を継承しつつ、デジタル時代の音と音楽の概念を拡張し、日常のあらゆる音や現象を音楽として捉え直す視点を提供しています。 落合陽一の表現の注目する点は、彼がアーティスト、研究者、起業家という多面的な顔を持ち、それぞれのコンテンポラリー領域の知見を融合させた独自の表現を生み出している点です。落合の作品は、計算機自然という思想に立脚し、人間中心主義とは全く異なった思想を展開しながらも、民藝や伝統的な宗教といった要素とも融合し独自のインクルーシヴな世界観を構築しています。
・どちらにしようかな、ヌルの神様の言うとおり
本展は、アートとテクノロジー、伝統と革新の境界を越えて、新たな文化的価値を創造しようとしています。具体的には、日本の伝統文化とデジタル技術を融合させることで、グローバル化の中で失われつつある文化的アイデンティティを再定義し、分野統合による真なる現代性(コンテンポラリー性)における日本文化の新たな可能性を探っています。観客の皆様には、この展示を通じて計算機自然の芸術と人間について、新たな視点を得ていただければ幸いです。
・職人の手仕事や企業の最新技術を用い、多彩なメンバーが共創して作り上げる新作
落合陽一の創造的世界を具現化するために集まった、民藝思想家、民俗学者、宗教家、テクノロジーを提供する企業チーム(カリモク家具)、職人(飛騨の家具職人や石工)など、思想、革新的なテクノロジー、自然、手仕事の多様な領域で活躍する表現者との共創(相互接続)によって実現する試みです。
また、本展は「日本の美と心」をテーマに全国で開催される「日本博2.0」にも参画しています。
日本の伝統的民家の最高峰と位置付けられる日下部家住宅を舞台に、飛騨の歴史や文化、伝承にも向けられた落合陽一の過去を巨視し未来を見定める融通無碍な視座によって照らされた、日本固有の文化の価値を際立たせ、世界に向けて日本独自の美と心の深さを発信します。
【落合陽一 プロフィール】
メディアアーティスト。1987年生まれ、2010年ごろより作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学准教授。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー。主な個展として「Image and Matter」(マレーシア, 2016)、「質量への憧憬」(東京, 2019)、「未知への追憶」(渋谷マルイMODI, 2020)、「北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs」 (北九州, 2021)」、「Ars Electronica」(オーストリア, 2021)、「晴れときどきライカ」(ライカギャラリー東京,京都, 2023)、「ヌル即是計算機自然:符号化された永遠, オブジェクト指向本願」(岐阜・日下部民藝館, 2023)、「ヌル庵:騒即是寂∽寂即是騒」(Gallery & Restaurant 舞台裏, 2024)など多数。また「落合陽一×日本フィルプロジェクト」の演出など、さまざまな分野とのコラボレーションも手掛ける。
【開催概要】
展覧会名称:日下部民藝館令和6年度特別展
落合陽一「どちらにしようかな、ヌルの神様の言うとおり:円環・曼荼羅・三巴」
会場:日下部民藝館 岐阜県高山市大新町1-52
会期:2024年9月14日(土)―11月4日(月祝) 午前10時~午後4時
休館日:会期中無休
観覧料:一般1500円 高大生800円 小中学生500円(未就学児無料)
30名様以上の団体割引 一般1300円、高大生600円、小中学生400円
なお、高山市民は団体料金でご入館いただけます。
主催:公益財団法人日下部民芸館
*令和6年度日本博2.0(補助型)(独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁)
助成:高山市文化芸術活動支援事業(この事業は、高山市の支援(高山市文化芸術活動支援事業補助金)を受けて実施しています)
第39回国民文化祭 第24回全国障害者芸術・文化祭「清流の国ぎふ」文化祭2024 公式イベント
協力:カリモク家具株式会社、坂本賢治、有限会社砂原石材、車山神社 宮司 宮沢伸幸
企画協力 : 朝倉圭一、CHAIRMAKER TAKAYAMA JAPAN他
【展覧会関連プログラム】
・オープニングアクト
日時:9月13日(金)午後6時~
作曲家、シンセサイザー奏者 浦田恵司とのライブコラボ
\4,000(ワンドリンク付き)
Keishi Urata
1953年生まれ。日本のシンセサイザー奏者の草分け的存在であり、代表するアーティスト。音楽活動を始めて以来、井上陽水、ユーミンをはじめとする日本の音楽界を牽引する数々のミュージシャン、アーティストたちと共演、また長編アニメ映画「AKIRA」の音楽を全編にわたって担当する。現在、高山に移り住み、青銅製のゴングを駆使した演奏活動と音源を基にした分野を問わない新しい音楽活動に挑戦中である。
l チケット入手方法(展覧会、関連事業前売り)
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オンライン販売は2024年8月10日から
電話でのご予約、または当日のご購入も可能です。
電話:0577-32-0072