神社を、地域を、もっと元気に! 心のままに共に挑戦し続ける
クラウドファンディングで成功を収めた辻さん。しかし、その目はすでに次の目標を見据えている。
「私が守っていきたいのは、神社だけでなく白川の地域全体です。そのためには、住民一人ひとりが地域に誇りをもち、積極的に活性化に取り組むことが必要です。クラウドファンディングのように外部の方々に助けてもらうだけでなく、今度は “白川のなかの人たち” にこれまで以上にアプローチして、みんなで一緒に白川を変えていきたいです」
彼女は現在、神主の枠を超えて地域でさまざまな活動を展開しようとしている。たとえば最近取り組んでいるのが、“農業の活性化” だ。白川の地には栄養分を豊富に含む水脈があり、味が濃くて美味しい野菜が育つ。しかし、その情報はあまり知られておらず、高い品質に見合わない価格で取り引きされている。
「まずは積極的な情報発信や高付加価値化していくことを通じて、白川の野菜を広めていきたいです。先日はその仕組みづくりのための第一歩として、農家さんに協力してもらって “野菜のブーケ” を販売したんですよ」
「今後は白川の農家さんと広くタッグを組んで、こうした取り組みを拡大していければと思っています。そして農家さんに正当な利益を還元し、地域の農業を元気にしていきたいですね」
アイデアをスピーディーかつ効率的に実現していくため、会社の設立に向けた準備も始めたいと考えている。
「アイデアを練るのはどちらかというと得意なほうなんですけど、それを形にするには知識も時間も足りないので、会社をつくって、仲間たちと一緒に夢を叶えていければと思っています。
自分で会社を立ち上げるなんて、正直なところ不安や怖さもたくさんあります。でも、やってみなければ始まりませんからね。白川でこれまで醸成されてきた価値観や慣習は尊重しつつ、その上にワクワクするような新しい未来を築いていきたいです!」
会社を設立し、さらに深く地域活性化に取り組んでいきたいと展望を語る辻さん。その拠点となる神社のこれからについては、どんな夢を抱いているのだろうか。
「神主である私自身がやりたいことにチャレンジしていることもありますし、そもそも國崎八幡神社のご利益が勝利と成功なんです。神社として多くの方々の新しい一歩を後押しできればと考えています。その一環として行っているのが、奉納祭です」
個人作家や新規事業者など、新たな挑戦をする人を応援するために、それぞれの技能や作品を神前に奉納する「奉納祭」を行っていこうと考えている。
「奉納者と相談して祭壇を組み、祝詞にはその方の想いや好きな言葉を盛り込みます。そんな参加型の奉納祭が、多くの人のさらなる挑戦、発展のきっかけになったらうれしいです。
神社に人が集まり、楽しいことや生きがいが生まれる拠点にしたいと彼女は願っている。最後に、自身の経験をふまえ、今やりたいことがあるすべての方へ、力強く優しい言葉をもらった。
「人は、何を願っても、感じてもいい。先ほどもお話したように、自分の気持ちを認めて、許してあげてほしいです。母親だから子どもを最優先しないといけない、いい大人が夢を見てはいけない……そういう思い込みに縛られず、お一人おひとりが個人としてどう思っているかを大切にしてみてください。
それから、これも自分の反省からですが、周りにもどんどん甘えてほしいですね。 『ひとりでできないのは当たり前!自分はよくやってる!』と自分自身を自分で認めてあげましょう。じゃないと、苦しいですから。
自分の気持ちと向き合って、周りの人たちを信頼して、ぜひ “本当に進みたい道” を歩んでください」