文:佐藤 遥SATO,Haruka
ライター・花手水研究会メンバー
札幌の市街を東西に分ける創成川(そうせいがわ)の東側、クルマの往来も多く、マンションも増えつつあるその一画に、札幌諏訪神社の緑がひときわ目立つ。
鳥居をくぐると、風車が取り付けられた風鈴棚から清涼な音が聞こえ、右を向くとこちらもまた涼しげな色合いの傘と提灯に囲まれた手水舎が見えてくる。

北海道開拓が本格的に始まって約150年、札幌諏訪神社(札幌市東区)は今年で鎮座140年を迎える
札幌諏訪神社が花手水を始めたのは、2020年6月のこと。境内を華やかにする取り組みに力を入れているのは、禰宜の北方宏和さんだ。
パンデミックが発生した当初は、感染防止のため、手水の柄杓を片付け、手水も止め、しばらく手水舎を封鎖していた。そのような状況下、太宰府天満宮の手水鉢に紫陽花を浮かべている様子がニュースで放送された。たまたまそれを見た北方さんは、すぐに太宰府天満宮の宮司に連絡し、札幌諏訪神社でも花手水を実施することに決めた。
しかし、見よう見まねで始めものの、札幌諏訪神社は結婚式や地鎮祭など、神社の外でのお祀りを主に行っていたこともあり、参拝者もあまりおらず、当初の反響はそれほどではなかった。
ところが……

札幌諏訪神社・禰宜の北方宏和さん。花手水を始めた3年前は、ひとりで悩みながらフラワーショップから購入していたが、今では毎月相談しながらデザインを考え、その月の購入時に翌月分も注文しているという
1
2