バーミヤン東大仏天井壁画「天翔る太陽神」
アフガニスタン、バーミヤン峡谷には800を越える石窟が穿たれ、艶やかな壁画が描かれていたが、2001年3月、バーミヤンの東西二つの大仏が過激派組織の手で爆破された。東西文明融合の象徴と称され、東大仏の天蓋を飾っていた天井壁画「天翔る太陽神」も、大仏とともに失われてしまったのである。
大仏破壊から十数年後、京都大学人文科学研究所に保管されている記録写真の高精細デジタル化を行い、バーミヤン東大仏天井壁画復元研究が始まった。大仏破壊後にドイツ・アーヘン工科大学の調査団によって計測された広域の3Dデータや1970年代の写真から壁画の微妙な凹凸を推定し、さらに壁画に用いられていたラピスラズリをはじめとする同素材の絵具による彩色を加え、限りなくオリジナルに近い質感を備える復元天井画を完成させた。