全国に広がる 「神社de献血」 。 穢れ(けがれ)とされてきたことを突破した宮司たちの決意と願い

今やるべきご奉仕を

とはいえ、企画の推進にあたっては神職として大きな苦慮があった。神道では、「血」は忌み避けるべき「穢れ」であるという観念があり、常に「清浄」を保とうとする意識が働いている。そのため、血液という「不浄」なものを神社で扱ってもいいのかという葛藤があったのだ。

「清浄と穢れを区別することは重要です。ただ、コロナ禍で多くの方がお困りの時に、『教えに背くことになるからやらない』という選択肢を取るわけにはいきませんでした。ですから献血は、心を寄せてくださるみなさまからお預かりする“善意の血液”ととらえ、こんなご時世だからこそ、今やるべきご奉仕をしたい。神社だからこそできる社会貢献をしたいと、私は神職として、この企画の立ち上げに踏み切ったのです」

浅草神社で「神社de献血」が開催されると、賛同する神社が次々と現れた。神社同士のつながりによって、東京、神奈川、大阪、兵庫と広がっていった。

今年4月に「神社de献血」を実施した、東京都品川区の居木神社

「神社の境内は屋外ですし、訪れる参拝者の方は礼節を大事にされている方も多く、観光地でも外国からの観光客が減っている分、密になることなく実施することができました。当初は、『神道の教えに背く行為ではないか』とお叱りを受けるかもしれないという不安もありましたが、そのような批判はありませんでした。参拝に来た方が『神社で献血ができるんだ』と興味を持ってくれるケースもあれば、献血をするためにわざわざ神社に来られる方もいらっしゃった。神社にとっても、献血センターの方にとっても、良い機会になっているのではないかと思います」

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監修:全国寺社観光協会

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