臨済宗妙心寺派の若き僧侶で、これからの禅の世界を背負うと目される細川晋輔氏は、大のジブリファン。本書では、ジブリ作品に禅の心を感じる著者が、作品と禅の言葉との共通項を綴ったエッセイ。「もののけ姫」「となりのトトロ」「風の谷のナウシカ」など、ジブリ映画の名作を「禅」フィルターで語っている。
『禅の言葉とジブリ』は、細川晋輔住職の一生のお仕事である禅の道と、ジブリ作品に描かれているメッセージが響き合って生まれた本です。『もののけ姫』のモロのセリフをソラで言えたりするほど、ジブリ作品を何度も見返している細川さま。その好奇心溢れる大きな瞳を信頼して、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデュサーも、「この方なら、なにか面白いものが生まれるかもしれない」と後押した企画でもあります。表紙のイラストも鈴木PDが描いています。ジブリ作品をとっかかりに、禅の世界にふれていただけたらと思います。細川さまの分かりやすい語り口は、コロナ禍のいま、先が見えなくて不安を感じている多くの方々に、少しだけ生きやすくする術、禅の基本にある考え方を示せているのではと思っています。
【目次】
達磨「不識」と「もののけ姫」
「君看双眼色、不語似無愁」(君看よ双眼の色、語らざれば愁い無きに似たり)と「ゲド戦記」
「大死一番、絶後再び蘇る」と「魔女の宅急便」
「一期一会」と「風立ちぬ」
「当処即ち蓮華国」と「火垂るの墓」
「只在此山中 雲深不知処」(只此の山中に在り、雲深くして処を知らず)と「となりのトトロ」
「日日是好日」と「ホーホケキョ となりの山田くん」
「水自茫茫花自紅」(水は自ずから茫々、花は自ずから紅なり)と
「レッドタートル ある島の物語」
「応無所住而生其心」(応に住する所無くして、其の心を生ずべし)と「かぐや姫の物語」
「随所作主 立処皆真」(随所に主と作れば、立処皆真なり)と「千と千尋の神隠し」
「明暗雙雙」と『風の谷のナウシカ』
「千里同風」
「請其本務」(請う、其の本を務めよ)と「耳をすませば」
「与天下人作陰涼」(天下の人の与に陰涼と作らん)と「天空の城ラピュタ」
対談 コロナの時代と禅―無分別智で混沌を生きる。
―円覚寺管長 横田南嶺老大師×細川晋輔
『禅の言葉とジブリ』
出版社 : 徳間書店
著者:細川晋輔
発売日 : 2020/10/30
定価:1,760円