聖徳太子と法隆寺がトーハクにやってきた!聖徳太子1400年遠忌記念特別展「聖徳太子と法隆寺」東京国立博物館(7/13-9/5)

待ちに待った聖徳太子1400年遠忌記念の特別展「聖徳太子と法隆寺」が、東京国立博物館平成館で開催される(会期:7/13火曜日〜9/5日曜日)。
今年(2021年)は聖徳太子1400回忌にあたり、トーハクに先行してナラハク(奈良国立博物館)で特別展が開催され、話題を呼んだ。今回の東京開催にあたっても、これまで寺外や奈良県外では公開されていない法隆寺の数多くの宝物をはじめとする貴重な文化財176件が一堂に会する。仏教の真理を深く追究し、わが国の文化・政治の基盤を築いた聖徳太子。彼にゆかりある数々の文化財をゆっくりと味わいながら、遙か遠く飛鳥時代に思いを馳せる。そんな贅沢で特別な体験が待っている。
寺社Nowオンラインを運営している一般社団法人全国寺社観光協会は、法隆寺参道で「門前宿 和空法隆寺」の監修を手掛けており、ナラハクにつづいてトーハクの本展も見逃すわけにはいかない。中でも注目のポイントを以下で共有したい。

トーハク(東京国立博物館)平成館のエントランスからエスカレーターで2階へ。するとたちまち聖徳太子の飛鳥時代へとまぎれ込む

2021-07-12 プレス内覧会にて撮影

飛鳥時代の建築が奇跡的に遺されている奈良・法隆寺

奈良県斑鳩(いかるが)町にある法隆寺。
仏教を中心とした国づくりを志した聖徳太子(574~622年)が607年に創建したとされ、今なお当時の姿を伝えている。

今回の特別展「聖徳太子と法隆寺」で出展されるのは、前面に垂れた裳に鮮やかな文様が施された古代仏像彫刻の傑作・国宝『薬師如来坐像』など、法隆寺の寺宝を中心に、太子の肖像や遺品と伝わる宝物の数々だ。それらを通じて聖徳太子その人と、没後に広がった太子信仰の世界に迫っていくという趣向である。

国宝 薬師如来坐像/飛鳥時代 7世紀、奈良・法隆寺蔵、通期展示

特別展の会場は、5つのパートに分かれている。「1章 聖徳太子と仏法興隆」では、聖徳太子と、最初期の日本仏教を概観。祖父・欽明天皇の治世に百済から伝わった仏教を、自ら究めた太子の姿に迫る。止利仏師(鞍作止利)と同系統の仏師が造像したとみられる重要文化財『菩薩立像』は見どころのひとつ。神秘すら感じるその微笑みに、思わず見入ってしまう。

仏法興隆を推し進めるための拠点・法隆寺をつくった太子の思いに迫るのが、「2章 法隆寺の創建」。寺で用いられた仏具や伎楽面などのほか、国宝 『天寿国繍帳』など、当時の仏教思想を感じられる展示は迫力だ。太子が往生したという「天寿国」の様子を描いた緻密な刺繍に注目したい。

国宝 天寿国繍帳/飛鳥時代 推古天皇30(622)年頃、奈良・中宮寺蔵、前期展示(7/13-8/9)

太子の没後、居所であった斑鳩宮の跡地に建立されたのが、法隆寺の東院伽藍。「3章 法隆寺東院とその宝物」では、国宝 『観音菩薩立像(夢違観音)』をはじめとする数々の宝物のほか、聖徳太子の遺徳を称える聖霊会(しょうりょうえ)のうち、10年に一度の大会式(だいえしき)など、東院伽藍(がらん)にまつわる華やかな法要もクローズアップされている。

平安時代に広がった太子信仰にスポットライトを当てるのが、「4章 聖徳太子と仏の姿」。その象徴とも言える法隆寺の秘仏・国宝『聖徳太子および侍者像』は27年ぶりの寺外公開となる。細く切った金箔で装飾する「截金(きりかね)」の技法などを用い、写実的に描かれた太子の姿には心奪われる。

国宝 聖徳太子および侍者像のうち聖徳太子/平安時代 保安2(1121)年、奈良・法隆寺蔵、通期展示

2021-07-12 プレス内覧会にて撮影

「5章 法隆寺金堂と五重塔」では、世界最古の木造建築物である金堂に収蔵された宝物が勢揃いする。日本最古の四天王像である国宝『四天王立像』(本展では広目天・多聞天を展示)は、動きの少ない静謐な姿が特徴的。須弥座(しゅみざ)つきの天蓋に、やわらかな微笑みをたたえた阿弥陀三尊像が収まる国宝『伝橘夫人念持仏厨子』は、古代の礼拝空間を今に伝える傑作だ。

また本展には、東京国立博物館が所蔵する「献納宝物」も展示される。これは、明治期の廃仏毀釈の動きから法隆寺と宝物を守るため、明治11(1878)年に皇室に献納された絵画や彫刻、染織など約320点からなる。わが国の黎明期の仏教美術を考察するうえで貴重な資料といえる。

こうした多彩な文化財が集結する特別展「聖徳太子と法隆寺」。展示を通して、聖徳太子と、飛鳥の時代から連綿と続く仏教文化に触れることで、不確かなウィズ・コロナ/アフターコロナ時代を「和」をもって生き抜いていくヒントを見いだすことができるかもしれない。

国宝 四天王立像多聞天/飛鳥時代 7世紀、奈良・法隆寺蔵、通期展示

 

国宝 伝橘夫人念持仏厨子/飛鳥時代 7~8世紀、奈良・法隆寺蔵、通期展示

国宝 伝橘夫人念持仏厨子は、会場では写真のように厨子と阿弥陀三尊像を別々に陳列している。阿弥陀三尊像をぐるり360度まわって見ることができる貴重な機会となる。

■開催概要

聖徳太子1400年遠忌記念 特別展『聖徳太子と法隆寺』
会場:東京国立博物館 平成館 (東京都台東区上野公園13-9)
会期:令和3(2021)年7月13日(火)〜9月5日(日)
[前期 7月13日(火)〜8月9日(月・休)/後期 8月11日(水)〜9月5日(日)]
※事前予約制。入場にあたっては、日時指定券の予約が必要。詳細は(ホームページ)へ。
観覧料(日時指定券):一般 2,100円/大学生1,300円/高校生 900円/中学生以下無料
休館日:月曜日(ただし8月9日は開館)、8月10日(火)
主催:東京国立博物館、法隆寺、読売新聞社、NHK、NHKプロモーション、文化庁
HP:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/


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監修:全国寺社観光協会

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