ちなみに今回の特別展『奈良博三昧』は、入館者のカメラによる鑑仏三昧・写仏三昧と、撮影した写真のSNSへの投稿がOKとなっているのも嬉しい。
一般的にミュージアムでの写真撮影が禁止されている理由は、大きく3つある。
▪1つは、鑑賞環境の問題で、①シャッター音がうるさく他の鑑賞者の妨げになる、②作品やガラスケースにうっかりぶつかって傷つけてしまう危険がある、③人気の作品の撮影大会になって鑑賞者が滞留してしまう、という問題がある。
▪2つめは、著作権の問題だ。作品撮影には、著作者である作者の許可が必要だが、展示品の1つひとつで許諾の有無が異なると、現場のオペレーションが困難になるので、一律禁止としているケースが多くなる。
▪そして3つめは、ミュージアム以外の所有者、つまり寄託者や出展者が撮影を許可しない場合である。特に仏像や仏画など信仰の対象となっている文化財については、所有者=寺院である場合、写真撮影を好まないケースが多い。
今回の特別展は、こうした問題が生じない奈良博の館蔵品で構成されているため、写真撮影が可能となっている。肉眼はもちろん、カメラのレンズを通しての鑑仏三昧・写仏三昧も一興だ。