■第1章「聖徳太子の生涯 太子の面影を追って」
聖徳太子とは何者だったのか? その足跡を辿る
用明天皇の皇子として生まれた聖徳太子。推古天皇の摂政として、十七条憲法の制定や遣隋使の派遣、また大阪・四天王寺や奈良・法隆寺を創建するなど、国家の礎を築き、仏教を広めた人物として、その名は日本の歴史に燦然と輝いている。
第1章では、太子の事績を絵画化した「聖徳太子絵伝」や、太子が所持したといわれる国宝の剣「丙子椒林剣」などを公開し、聖徳太子の足跡や人物像に焦点を当てる。
聖徳太子絵伝とは、太子の生涯におけるさまざまな事績を大画面に描いた絵のこと。日本における仏教興隆の祖と位置付けられる太子の遺徳を顕彰し、広めるために製作された。その絵伝を利用して僧侶がわかりやすく絵解きで解説した。四天王寺では奈良時代(8世紀)には既に絵伝を用い、太子信仰が隆盛した中世以降は、四天王寺に限らず多くの寺院で太子絵伝が作られた。
「聖徳太子絵伝を一挙に公開しているので、知っているようで知らない太子について振り返ることができます」(大阪市立美術館・石川学芸員)