2022年1月17日、京都国立博物館(以下、京博)平成知新館の講堂で開催された《伝教大師1200年大遠忌記念特別展「最澄と天台宗のすべて」》の記者発表会は、驚きと喜びと興奮に満ちていた。
なかでも、法界寺(京都府伏見市、真言宗醍醐派)の秘仏「重要文化財 薬師如来立像(乳薬師)」に関するコンピューター断層撮影(CT)調査について報告がなされた瞬間、その驚きと興奮はピークに達した。
今から春の開幕が待たれる京博の特別展「最澄と天台宗のすべて」(会期:4月12日〜5月22日)は、昨年秋の東京国立博物館(以下、東博)を皮切りに、九州国立博物館(以下、九博。会期:2022年2月8日~3月21日)、そして京博へと全国を巡回する、超大型特別展の大トリとなる。
〝日本仏教の母山(ぼざん)〟と仰がれた比叡山延暦寺を開き、日本天台宗の開祖となった伝教大師・最澄の1200年大遠忌を記念する空前絶後のスペシャルな展覧会だ。
比叡山は、比類なき特別な山と言える。日本仏教の多くの宗派の開祖が、比叡山で学んだ。浄土宗の開祖・法然、浄土真宗の開祖・親鸞、臨済宗の開祖・栄西、曹洞宗の開祖・道元、日蓮宗の開祖・日蓮、時宗の開祖・一遍などなど、高僧名僧の名を挙げればきりがない。
それがゆえに、国宝23件、重要文化財71件を含む天台の名宝至宝130件が全国から大集結する今回の特別展には、天台以外の宗派も協力を惜しまない。最澄の教えの広がりや天台思想が生んださまざまな文化的潮流、そして現代へのつながりが、とんでもないスケールでミュージアムを舞台として表現され、観覧者は日本仏教の歴史と文化の旅をまざまざと体感することができる。それはすでに昨秋の東博で証明済みだ。
そしてさらに京博には、新たな驚きが隠されていることが、記者発表会で明らかにされた。
1
2