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左)3Dプリンターで制作した愛媛・等妙寺「菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)」内部に認められる八角五輪塔(実寸大)、右)菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)と、調査研究を担当した九州国立博物館 企画課研究員・大澤信氏(=次ページの動画『「最澄と天台宗のすべて」担当学芸員がご紹介』にも登場している)
数ある至宝のなかでも寺社Now的な注目ポイントの筆頭は、60年に一度しか公開されない秘仏中の秘仏、愛媛の等妙寺が所蔵する鎌倉時代の「菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)」だ。かつて天台宗の戒律道場として、中世を通じて興隆した同寺で近年その存在が知られるようになった。
それだけでも必見だが九博がX線CTスキャン調査を実施したところ、像内の首の部分に、高さ約5センチ、幅約2センチの木製の五輪塔が納められていることが判明。さらに五輪塔の内部に、仏舎利(釈迦の遺骨)を表現した直径1~3ミリの粒が約20個納められていることが確認された。
九博の会場では、この五輪塔をデジタルデータを基に3Dプリンターで復元して、同像とあわせて公開している。
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左上)菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)X線CT画像(右から見た断面)、右上)X線透過画像(右側面)、左下)X線CT画像(正面から見た断面)、右下)五輪塔3次元データ
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「菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音)」 鎌倉時代 13世紀(愛媛・等妙寺)