こだわりだして行き着いた配信機材
手のひらサイズのアクションカメラGoProを本堂の壁に設置し、さっそくテレビに映し出してみた。しかし不具合により、30分程度であえなく休止。
「トラブルの原因を特定し、再開に向けて調整を続けていたのですが、そうこうしている間に新型コロナウイルス感染症が広がって、参拝者の姿が途絶えてしまいました。そこからはもう、迷走。山門の仁王像にマスクをつけけたあとで、誰も来ないから意味がないと気づいたりするほどでした(笑)」
迷走を続けながら、カメラがあるなら動画配信もできるのではないか、と考えるようになった谷口住職。自分にもできるかもしれない、そう思い、令和2年(2020)1月19日、ユーチューブでのライブ配信をスタートさせた。
「最初は、後方頭上の壁に設置したGoPro1台でした。自分が読経している姿を後ろから映し出し、普段からお遍路さんが参拝時に見ている風景を届ければいいのかな、くらいに考えていたのです」
ところが、配信された映像を見てみると、画質が粗い!
「それでも9月くらいまではGoProをメインカメラ、サブで一眼レフカメラを使いながら配信をしていました。その後一眼レフカメラに換えていったのですが、そのカメラでは音をうまく拾えないことが判明。それでコンデンサーマイクを購入してみたももの、音質に関して購入者の評判が良くないことがわかり、マイクを集音マイク2本体制に変更しました」
初期の音の問題は一応クリア。すると今度は、画角が気になり始めた。GoProは130度くらいの広角で映像が映し出せる。しかし一眼レフカメラはそれよりも狭い。そこで思い付いたのが複数カメラの映像を編集して配信すること。が、カメラを増やすと、その数だけマイクが必要になる。マイクが増えると雑音も増えるので、それらを編集できるソフトが必要になる・・・。
「ずっといたちごっこ(笑)。配信するからには美しい映像と音を届けたい、そのこだわりを実現するのに必死でした。ノイズのトラブルなども解決し、現在の機材に落ち着いたのは、11月になってからでした」
その後は音声をステレオ収録にしたが、しばらく経って方法を間違えていることがわかり、今年4月からはモノラル収録を基本に、ここぞという時にステレオ収録するようにしている。
そんな谷口住職が苦心の末に辿り着いた配信スタイルとは!?