春はピンク色の桃の花や黄色い菜の花が一面に咲き誇り、夏には果実がたわわに実り、そして秋にはブドウの葉が紅葉してワインの季節。一年を通じて気分はパラダイス!
甲斐国一宮 浅間神社(かいのくに・いちのみや・あさまじんじゃ)は、日本遺産「葡萄畑が織りなす風景−山梨県峡東地域−」の中心部、山梨県笛吹市一宮町に所在します。
ご祭神は、富士山の化身であり、富士山信仰のシンボルとも言える木花開耶姫命 (コノハナサクヤヒメノミコト)です。ということで、絵馬のモチーフは、木花開耶姫命と桃のコラボレーション。気分がパラダイスなので、デサインもおのずとポップになっていますがいかがでしょうか。
ところで、こちらの神社を訪ねて初めて気付いたのですが、いつでもどこでももれなく絶景!富士山ビューがついてくる山梨にあって、よりにもよって富士山の化身を祀るこの甲斐国一宮浅間神社からは、霊峰富士の姿が全然見えないんです。
というのもわけがあって……
聞くところによると、およそ2000年前に創祀された浅間神社は、貞観7(865)年に現在の地へ遷座したとのこと。謎解きの鍵は、この貞観7(865)年にありました。
富士山は、貞観6(864)年から貞観8(866)年にかけて、いわゆる「貞観大噴火」と呼ばれる噴火を繰り返しています。この時、富士五湖のうち西湖と精進湖、それに青木ヶ原樹海が誕生しました。
ご存じ、富士山は活火山です。人々は、噴火を荒ぶる神の怒りととらえ、富士山が鎮まってくれることを願い、祈りを捧げてきました。しかし、噴火のたびに山麓の村々は大きなダメージを被り、また祈りを捧げる場としての各地のお宮も破壊されてしまいます。
甲斐国一宮浅間神社は、貞観の大噴火をきっかけに今の地に遷座して創建されたと考えられているようですが、その際に、甲斐国のほぼほぼ中心部を選択することで、あえて富士山から距離をとったと思われます。朝廷から創建を命じられた国司が、夢のお告げで現在の位置を選んだという伝承もあったりするようです。
昔から人々は、富士山の圧倒的な存在感を前にして、その神々しいまでの気高さに畏怖と畏敬の念を感じ、信仰や崇拝の対象としてきました。秘めたる強大なパワーは、噴火で災厄をもたらすこともあれば、一方では地球が持っているエネルギー、たくましさの象徴でもあります。
親しい知人でもあるパラリンピック・トライアスロン競技の谷真海(たに・まみ)選手は、富士山にお参りをしてから世界へと羽ばたいていきました。まだまだ未熟者のこんな私が、名誉ある神道文化賞を受賞できたのも、富士山と浅間神社の木花開耶姫命のおかげだと信じています。
甲斐国一宮浅間神社を訪ねて、そっと目を閉じ、富士山とその化身である木花開耶姫のパワーに身を委ねてみてください。ご自身の夢が花咲くイメージとともに。
甲斐国一宮 浅間神社
住所:山梨県笛吹市一宮町一ノ宮1684
TEL:0553-47-0900
公式ホームページ:http://asamajinja.jp/
永崎ひまる(絵馬師・和風画家・デザイナー)
神道文化会 平成27(2015)年度「神道文化賞」受賞(絵馬師初)。また日本文化「和紙」の普及にも尽力する一方で、グラフィックデザイナーとしてのキャリアも活かして、陶器や雑貨などの商品デザインや、日本酒やワインのラベルデザインなど、絵馬だけでなく多岐ジャンルでも活躍中。
※神道文化賞:神道文化の普及に貢献している功労者に贈られる伝統ある賞
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