未来からの逆算!バックキャスティング〜SDGsとスーパークローン文化財【東京藝術大学大学美術館「みろく展」開催記念特集⑤】


しかし、現代でも不動産文化財を実見することは、あるスキルや情報を持つ人にしかその恩恵が与えられず、新型ウィルスの蔓延によりさらに現地へ赴くことが困難な状況となっている。オリジナル作品にアクセス可能な人は、ある種の特権的な人に限られているのだ。また、可動文化財であっても世界中から作品を集めようとすれば、輸送から梱包まで多くの資源を必要とする。文化財を運搬することは、作品へのリスクと同時に環境へのリスクが多く存在している。

このように、社会において、多様な価値観を持つ、あるいは理解するための役割として、文化財の重要性が増す一方で、今後文化財は閉じられたものになっていく要素しか見当たらない。しかし、クローン文化財を活用することで、文化財が最小限の資源で生産し可動させられ、より身近なものとなれば、多様な価値観を選択する持続可能な社会基盤の構築に貢献できるだろう。

繰り返しになるが、文化の持続性の低下は、その敷居の高さとその無関心から来る。その問題はクローン文化財の制作においても同様にある。ソーシャル・イノベーションとは0から1を生み出すだけでなく、さらに次の誰かが取り組めるような仕掛けと仕組みを作ることに価値がある。

現在クローン文化財・スーパークローン文化財の制作には、高度な専門性と経験上の判断が不可欠と言えるが、今後も誰かが続いてやってみたくなるような仕掛けを作らなければ、クローン文化財すらも閉じられた文化財に陥ってしまう危険性がある。この新しい発想と技術を公共的で持続可能な形へと発展させることが、クローン文化財に関わる私たちの課題といえよう。

「みろく – 終わりの彼方 弥勒の世界 −」展
Message from the Future: The Exhibition of the World of MIROKU

【 会 場 】 東京藝術大学大学美術館 3F
【 会 期 】 2021年9月11日(土)〜2021年10月10日(日)
【開館時間】 10:00〜17:00(最終入場16:30)
【 休 館 日】 月曜日、9月21日(火)〈オンラインにてシンポジウムの開催〉 ※ 9月20日(月・祝)は開館

主催:東京藝術大学、平山郁夫シルクロード美術館、日本経済新聞社
共催:敦煌研究院
協力:雲岡研究院、龍門石窟研究院、麦積山石窟芸術研究所、甘粛炳霊寺文物保護研究所
特別協賛:株式会社ミロク情報サービス
助成:公益財団法人 関西・大阪21世紀協会、一般社団法人 東京倶楽部、公益財団法人 文化財保護・芸術研究助成財団、藝大フレンズ賛助金
企画制作:東京藝術大学COI 拠点、ユーラシア文化交流センター

​※新型コロナウイルス感染症拡大防止策を行い開館
※事前予約制ではないが、状況により、変更及び入場制限等を実施する可能性がある

▪チケット情報

一般当日 :1,000円
大学生当日: 700円
※当日窓口販売のみ
※高校生以下及び18歳未満、障がい者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料

▪公式webサイト・SNS

【webサイト】https://www.mirokuten.com
【instagram】https://www.instagram.com

▪図録販売

【芸大美術館ミュージアムショップ】https://www.geidai.net/zuroku/767.php

▪お問い合わせ

ハローダイヤル:050-5541-8600

▪アクセス

東京藝術大学大学美術館
〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
https://www.geidai.ac.jp/museum/

JR上野駅(公園口) より 徒歩10分
京成上野駅(正面口) より 徒歩15分
東京メトロ千代田線根津駅(1番出口) より 徒歩10分
東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅(7番出口) より 徒歩15分
※駐車場は用意されていないため車での訪問は避けたい

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監修:全国寺社観光協会

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