1300年の歴史ある聖域で心身を浄化!拠りどころ・集いの場としての宿坊【広島・安芸国分寺】

【寺社Now26号(令和元年7月発行)】より ※情報は掲載時のものです

宿坊の新規開設には、各種の規制などさまざまなハードルがある。予定地が、住宅や商業施設の開発が制限されている市街化調整区域であれば、なおさらのこと。そうした中で、行政と共に取り組むことでハードルをクリアして開設にまでたどり着いた宿坊が、先進事例として注目されている。

広島の安芸国分寺は、聖武天皇の時代に全国に建立された国分寺のひとつ。所在地の西条町は、兵庫県の灘、京都府の伏見とともに「日本三代銘醸地」と呼ばれる酒どころとしても知られている。

宿坊のオープンは、令和元年(2019)4月。第149代の有瀬光崇(あるせこうしゅう)住職は、かねてより仏の素晴らしい教えを、どうすれば一人でも多くの人に知ってもらえるだろうかと常日頃から考えていた。

観光課からの提案をきかっけに仏教にふれることのできる宿坊を開設

その具体的な実践として、まずは寺子屋から始めて、次に宿坊を、という構想を描いていた。そこに東広島市の観光課職員から、宿坊設置の提案があった。

「寺院という聖域に身を置くことで何かを感じていただきたい、そしてお寺を身近に感じてほしい、さらに修行体験を通して心身の浄化を体感してもらいたい。そのために宿坊の開設を検討していました」と有瀬住職。

宿坊を開設すれば日本人が日本を深く知ることができる場となり、また、外国人の訪問が増えることも考えられるため、彼らに日本の文化・伝統を知ってもらう場にもできる。そしてそこに国際交流も生まれるのではないか、とも考えていた。

そのタイミングでの観光課からの、まるで何かに導かれるかのような提案である。

聞くところによると、観光課の担当職員がたまたまテレビで、滋賀県大津市にある天台寺門宗総本山園城寺(三井寺)境内に誕生した宿坊「和空三井寺」のニュースを見て、自分の地元でも同じような取り組みができないだろうかと考え、安芸国分寺に相談したことから物語が動きだした。

有瀬住職と奥様の聖明(しょうみょう)さんは幼馴染み。ご夫婦そろって話し好きで、仏教や地域の話などさまざまな話題に花が咲く

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監修:全国寺社観光協会

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