お寺に泊まろう!「テラハク」連載:大泰寺(和歌山県那智勝浦町)
熊野古道が走る「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に指定されたのは2004年のこと。以来人気のスポットとなっており、多くの観光客・参拝客は、那智勝浦町北部にある那智の滝をめざす。一方で同じ町内の南側に位置する大泰寺周辺は、古道沿いにあるものの、訪ねる人の気配はほとんどない。
大泰寺の西山十海(とみ)住職は、海に面した隣り町にある海蔵寺(臨済宗)で生まれ育ち、海蔵寺の副住職でもある。中学校の英語教師を務めながらDJやストリートダンス活動などもしていたが、平成28(2016)年に、それまでの職を辞して住職不在だった大泰寺の住職に就き、寺院と地域の状況を変えたいと自ら動き始めた。
「お寺に賑わいを、というよりも、まちのために寺を活かしたい。地域づくりのきっかけとして観光の芽を育てることが急務で、そのための拠点の一つとして宿坊を始めようと思いました」