ついに!1400年の聖徳太子信仰を伝える名宝大集結!千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」(大阪市立美術館)特別レポート

■第4章「御廟・叡福寺と大阪の聖徳太子信仰 太子が眠る地」
大阪各所に伝わる、熱き太子信仰を見つめる

四天王寺のほか、大阪各地に太子ゆかりの地が点在している。第4章では、太子の御廟がある叡福寺(所在地:大阪府南河内郡太子町太子)に寄進された16歳の太子の肖像「馬上太子像」をはじめ、大阪における太子の信仰を伝える作品をピックアップしている。

「馬上太子像」桃山時代 16~17世紀、大阪・叡福寺 ※前期展示

■第5章「近代以降の聖徳太子のイメージ…そして未来へ——つながる祈り」近現代の太子像を追う。新たなイメージに注目

第5章は、近代以降現在に至るまで、聖徳太子がどのように表現されてきたかに迫っていく最終章となる。太子関係の展覧会がおもに中世の作品で構成されることが多いなか、近世から近現代、さらには今年新たに作像されたばかりの太子像まで、連綿と続く太子の造形を追うという点は、まさに本展ならではと言える。

たとえば旧最高裁判所の壁画の下絵「旧最高裁判所大法廷壁画 小下絵のうち 聖徳太子憲法宣布」には、政治家として活躍する太子が描かれている。

「旧最高裁判所大法廷壁画 小下絵のうち 聖徳太子憲法宣布」堂本印象筆、昭和26年(1951)、京都府立堂本印象美術館

一方、山岸凉子による聖徳太子を題材とした漫画『日出づる処の天子』(昭和55〜59年)の原画では、作者により愛に悩める一人の人間としての新たな聖徳太子像が描かれている。

漫画家・山岸凉子作『日出づる処の天子』(昭和55〜59年)原画

漫画家・山岸凉子作『日出づる処の天子』原画

第5章の最後の部屋では、四天王寺「聖霊会」を再現している。 ※大阪展のみ

第5章の最後の部屋は、平安時代の華やかな舞楽法要を今に伝える、四天王寺の聖霊会(しょうりょうえ)を再現し、実際に使われている楽器や装束なども展示されている。

四天王寺では、毎年4月22日(旧暦2月22日)の聖徳太子の命日に、太子の御霊に捧げるための法会「聖霊会」を執り行ってきた。六時堂前の石舞台にて四天王寺楽所による舞人による舞楽が奉納される。第5章の会場で再現されている聖霊会は、今回の太子1400年御聖忌に合わせて今年新造されたばかりの「聖徳太子童形半跏像」に向けて奉納されているというレイアウトになっている。

ちなみにこの聖徳太子童形半跏像は、特別展後は原則非公開となり、年に一度の聖霊会でのみ公開されることになると聞いた。

大阪・四天王寺では、今回の特別展をオープニングとして、約半年にわたる聖徳太子1400年御聖忌慶讃大法会を執り行い、その最後を2022年2月の聖霊会が飾ることになる。

参考URL:四天王寺・聖徳太子千四百年御聖忌 記念事業一覧

「鳳輦」江戸時代 17世紀、および「聖徳太子童形半跏像」令和3年(2021)、大阪・四天王寺 ※「鳳輦」は大阪展のみ 特別展終了後は原則非公開となり、年に一度の聖霊会でのみ公開されることになる

「鳳輦」江戸時代 17世紀、および「聖徳太子童形半跏像」令和3年(2021)、大阪・四天王寺 ※「鳳輦」は大阪展のみ

以上、コロナ禍の混沌とした時世に開催となったこのたびの聖徳太子御聖忌の特別展を駆け足で見てきた。時代を超えて受け継がれてきたゆかりの作品から、太子の心へと思いを馳せる。そして、改めて「和をもって貴しとなす」の精神にふれることが、苦難を乗り越えるチカラを得るきっかけとなる。そうした時間を過ごすことのできる特別な展覧会と言えるかもしれない。

■開催概要

千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」
会場:大阪市立美術館(大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82 天王寺公園内)
会期:2021年9/4(土)~10/24(日)
※展示替えあり
前期:9/4(土)~9/26(日)
後期:9/28(火)~10/24(日)
観覧料:一般1,800円(1,600円)、高大生1,200円(1,000円)
※括弧内は前売料金
休館日:月曜日、9/20(月・祝)は開館
主催:和宗総本山四天王寺、大阪市立美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪
※大阪での開催の後は東京に巡回予定です。
最新の情報はホームページなどでご確認ください。
特別展HP:https://taishi1400.exhn.jp/

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監修:全国寺社観光協会

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