奥能登の過疎地に希望の宿坊〜食と文化の泊まれるお寺「乗光寺」(石川県珠洲市/能登半島最先端)

庫裡の一角にある副住職・紅さんの工房で染色体験。それは、観光のために用意されたものではなく、日本の日常のワンシーンにまぎれ込むことができる旅の醍醐味

地域で文化を受け継ぐきっかけとしても活動

もうひとつの魅力は、多様な体験メニューだ。副住職である坊守の娘、紅(こう)さんは染色家でもあり、宿泊者向けに能登の植物を使う染め物体験を実施している。ほかにも数珠づくりやヨガといった文化体験や、寺院の行事に合わせて門徒とともにお斎やお飾り盛の手伝いもできる。体験のなかに信仰文化が組み込まれているのは、まさに寺院ならではと言えるだろう。

ゲストに提供される布製アメニティのポーチ。プラスチックゴミを減らしたいとの思いで紅副住職が染めている

乗光寺宿坊という「場」に、地域の人たちも参加してゲストをもてなそうとしている。写真は、三味線を抱えてやってきた名人とゲストとの交流の一場面。ゲストにとってはちょっとしたサプライズだ

取材滞在中には、越中おわら風の盆の講中によるパフォーマンスが行われていた。奥能登と越中富山とは海(富山湾)を挟んで文化が繋がっている

「ただ泊まってもらうだけでは駄目。能登の伝統やお寺のことを知ってもらう。宿坊をきっかけに、寺をこれからも人が集まる場にしていかないと。だから来てくれた人を、最大限のおもてなしで迎えます」

奥能登・珠洲の入り口に、まちを代表してあたたかく出迎えてくれる宿坊がある。

乗光寺宿坊が、能登半島最先端・珠洲のまちのシンボルになる日も近い

真宗大谷派 乗光寺
住所:石川県珠洲市飯田町12-24
TEL:0768-82-1006
HP:http://jyoukoujinoto.com
記事は【寺社Now30号(令和2年3月発行)】より再構成 ※情報は掲載時のものです

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監修:全国寺社観光協会

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