世界遺産・吉野山を望む居心地のいい小さな宿坊に連泊客が憩うシンプルな理由【奈良県吉野町・宝塔寺】

猫ならずとも居心地のよさに心安らぐ時間と空間がそこにある

そもそも宝塔寺が宿坊を始めたのは、「危機を感じていたから」と寺島住職。

檀家は20軒に満たない。若者は地元を離れ、人口減少が進んでいる。墓じまいまで始まった。そうした状況下で寺院を運営していくには、「何かしないとまずい」。

そこでまず、敷地内の建物を改装し、誉知子さんがフラワーアレンジメント教室とカフェを3年前にスタートさせた。客層は老若男女、年齢も職業もさまざま。居合わせた人たちの会話が生まれる場になり、客同士のつながりも生まれた。

その後、近隣の明日香村などで宿泊需要があることを知り、幾度かのトライアルを経て宿坊の開設を決めた。

宿泊する際には夕食利用の有無を確認する。夕食は決まったメニューではなく、近隣農家から仕入れる野菜などを使い、吉野の季節を感じてもらえるように考えている。グラタンも名物

時には茶粥を用意してくれることも

宿坊の開設にあたっては、「この空間を楽しむことが旅の目的となり、気が済むまで滞在してもらえる宿」を目標にした。

その目標を実現するために、何よりもコミュニケーションを大事にしている。宿泊前からの会話を大切にするコミュニケーションスタイルも、ここからきている。宿泊客が一人の時は、ゲストが望めば夕食を共にすることもある。時には、近隣住民を交えたBBQが始まることもある。

逆に、一人静かに過ごしたいゲストであれば、その時間と空間を邪魔することはない。そうした柔軟性もあって、ゆっくり連泊して心身共に安らぎを得て帰る利用者が増えている。寺院の運営にも一筋の希望が見えてきた。

定期的にヨガ教室も開催


日蓮宗 大和仏舎利塔 宝塔寺
住所:奈良県吉野郡吉野町上市1945
TEL:0746-32-5055
HP:http://www.cafe-lesvagues.com/houtouji.html
オンライン僧侶クリニック(宝塔寺)

※寺社Now21号(平成30年9月発行)より(情報は掲載時のものです)


 

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監修:全国寺社観光協会

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