From the Past to the Future(伝統を未来へ)
寺社の伝統継承を支える日本麻振興会の取り組みをご紹介!
国産大麻(精麻)が持つチカラを広く伝える試み
古代より大麻(おおあさ)と日本の伝統文化は密接な関係がある。伊勢神宮の御札に「神宮大麻」と記されていることからもわかるように、大麻は神の依り代として用いられてきた。神社の注連縄(しめなわ)や鈴緒に御幣、天皇代替わりの神事「大嘗祭」の麁服(あらたえ)も大麻で織られている。大相撲の横綱が土俵入りで締める「綱」にも使われていると聞けば、その神聖性を身近に感じることができるだろう。
しかし、国内の大麻生産農家は限られているうえに高齢化も深刻なため、国産大麻は大変貴重なものとなっている。そのため、神社で目にする多くの注連縄が、国産から化学繊維や海外産大麻へと姿を変えているのが現状だ。
「国産大麻の注連縄(しめなわ)を張っている神社は、1%にも満たないと言われています」(日本麻振興会・安間信裕理事談)
海外産の大麻は、製造工程で薬品などが用いられ、繊維が傷んで耐久性に弱点があるものも少なくない。一方、古くから日本の神事で用いられてきた国産の大麻は、微生物で大麻を発酵させて茎から表皮を剥ぐなど、日本伝統の熟練の技によって伝承されてきた「精麻」を使用しているため、丈夫で長持ちするという利点がある。
日本麻振興会は、全国の神社に国産の大麻を用いた注連縄や鈴の緒を奉納する活動を展開している。
国産大麻とは
日本古来の「大麻(おおあさ・英名ヘンプ)」は、明治時代に日本に移入された「亜麻(あま・英名リネン)・黄麻(こうま・英名ジュート)」などと区別するために、「たいま」と呼ばれるようになった。大麻はアサ科アサ属の植物だが、亜麻はアマ科、黄麻はアオイ科。実際には麻とは異なるが、風合いが似ていることから、日本ではすべて「麻」と表示されている。しかしそのうちで、古代から栽培され継承されてきた日本の伝統の麻とは、大麻(おおあさ)にほかならない。
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