京都国立博物館(以下、京博)で、注目の特別展「最澄と天台宗のすべて」が開幕した。〝日本仏教の母山(ぼざん)〟と仰がれた比叡山延暦寺を開き、日本天台宗の開祖となった伝教大師・最澄の1200年大遠忌を記念する大展覧会だ。[会期:2022年4月12日〜5月22日]
比叡山を中心として各地から国宝23件、重要文化財72件を含む全130件が京博に集結。仏教界に新風を吹き込んだ日本天台宗の始まりから、その広がりや生み出してきたさまざまな文化、そして現代までのつながりを、全国に散らばる名宝の数々でたどる。
本展は、東京・九州・京都の国立博物館3館をまわる巡回展だが、各会場でそれぞれに独自性が発揮されているのが嬉しい。大トリとなる最終会場の京都は比叡山のお膝元でもあり、総まとめ的な要素がある一方で、出品一覧を確認したところ全130件のうち京都会場のみの展示品が、なんと75件と全体の60%近くも占めている。
それにしても比叡山は、比類なき特別な山と言える。日本仏教の多くの宗派の開祖が比叡山で学んだ。浄土宗の開祖・法然、浄土真宗の開祖・親鸞、臨済宗の開祖・栄西、曹洞宗の開祖・道元、日蓮宗の開祖・日蓮、時宗の開祖・一遍などなど、高僧名僧の名を挙げればきりがない。
京博で、今まさにこの瞬間につながる歴史の豊かさに触れ、その足で延暦寺や天台宗五ケ室門跡(三千院門跡・青蓮院門跡・曼殊院門跡・毘沙門堂門跡、妙法院門跡)をはじめとする関連の寺院や名跡を訪ねるのも一興だろう。
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