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ぶらり訪れた国で触れた、アジアの現実

西林寺は江戸初期の開基から350年近い名刹。安武住職は第16世として寺を守り、地域ともつながり続けている。彼の信念は、「布教活動や先祖供養の場としてだけでなく、出会いや地域活動の場、娯楽の場、世界の諸問題や貧困について考える場として、新たな寺院の役割を目指したい」というもの。

住職は20代の頃、ふらりと一人で世界各地を歴訪する旅に出た。その後半に偶然訪れたカンボジアで、今につながる社会貢献のきっかけと出合う。

「よくみると顔は日本人とそんなに変わらない。しかしなぜあらゆる文化がこんなに日本と違うのか、という素朴な疑問が湧いてきました。そこでカンボジアの歴史をいろいろ調べたのですが、過去に内戦があり、1976年には大変痛ましい惨劇が起こっていたことも初めて知りました」

1976年は、奇しくも住職が生まれた年でもある。

「私がたくさんの方々から祝福を受けて誕生したその同じ年に、カンボジアでは多くの方が亡くなられていた。カンボジアを訪れたことでこの事実を知り、それが自分自身の誕生年とも関連している。そこにただならぬご縁を感じ、この国に少しでも何かお手伝いができないものだろうかと考えたのです」

世界各国を旅する中で、たくさんの人に助けられた。その一人ひとりにお礼を言いに行くことはできないが、受けた恩を別のところで返す「恩送り」ならできる、とも思った。

当時西林寺では、お賽銭をユニセフに寄付する活動を行っていた。これはこれですばらしいことだと感じていたが、心のどこかで、大切な浄財が何に使われているのかはわからない、という気持ちも抱えていた。そこで、その一部をカンボジアの学校支援に充てることにした。

以来、西林寺では平成20年(2008)から一貫してカンボジアへの支援活動を続けている。キャンドルナイトのイベントもスタートさせ、そこで上がった収益から必要経費を引いた全額を、カンボジアでの学校支援にとどまらず井戸の建設や維持のために、さらに、首都プノンペン郊外の旧ゴミ山地域の学校支援にも充てることにした。

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監修:全国寺社観光協会

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