開幕!特別展「西行―語り継がれる漂泊の歌詠み―」(五島美術館 10/22-12/4) 疫病・自然災害・争乱…混迷の時代に武士は僧侶となり各地をさすらう〝漂泊の歌人〟となった。

特別展「西行―語り継がれる漂泊の歌詠み―」
開催期間:2022年10月22日(土)〜2022年12月4日(日)

【五島美術館(東京都世田谷区上野毛)】・・・東急グループの礎を築いた五島慶太翁が、戦前から戦後にかけて蒐集した日本と東洋の古美術品をもとに、1960年(昭和35)開館。五島邸の一部が提供された敷地は庭園を含めて約6000坪。本館・古経楼(こきょうろう)・冨士見亭は、国の登録有形文化財(建造物)に指定されている。古写経コレクションや経典・僧侶の墨跡を中心に、国宝「源氏物語絵巻」「紫式部日記絵巻」をはじめとする数々の名品を収蔵し、日本と東洋の貴重な古典籍コレクションを持つ併設の大東急記念文庫は研究者に公開されている。[撮影:寺社Now]

会場を見守る常設の愛染明王坐像(重要文化財、鎌倉前期)は、明治の神仏分離令まで鶴岡八幡宮の愛染堂に祀られていた御像が転々とした後に五島美術館の所蔵となり、数々の展覧会を見守っている

会場風景。本展では、世に数点しか伝わらない稀少な西行自筆の手紙をはじめ、「西行」をテーマとした古筆・絵画・書物・工芸など、国宝4件重要文化財20件を含む名品約100点に出会える。中世から近代に至るまで、西行が時を越えて人々の心に語りかけてきたものを探る、これまでにない「西行」の展覧会となっている

 北面の武士(上皇を護衛するエリート武士団)、佐藤義清(さとう・のりきよ)は、妻も子もいたが23歳で突然出家した。西行の誕生である。歌枕に導かれるように各地をまわり、寺々を歴訪。そして高野山へ入り、後に伊勢へ移った。
 西行の生きた時代は、疫病の流行やたび重なる自然災害に加えて、保元・平治の乱源平合戦など世は殺伐とし混沌としていた。そうした時代背景の中で、僧として、歌人として、月や花に心を寄せ、神仏に祈り、時代を憂い、三十一文字(みそひともじ)に思いを託し、数多くの和歌を後世に残した。そして語り継がれてきた。
 そんな西行にまつわる名品の数々が一堂に会する。2022年、世界は混沌とし混迷している。本展を通じて、時代を超え愛されてきた西行の姿と心を感じとり、今を生きる糧としたい。本展は、そんな絶好の機会を提供してくれている。

〈展示構成〉
 
第1部:西行とその時代
西行自筆の手紙と西行の歌集を中心に、西行を取り巻く人々の筆跡など、西行が生きた動乱の時代とともに西行の和歌の原点を紹介。
 
第2部:西行と古筆
西行が書いたとされる美しい古筆の数々を展示し、後世の人々が歌人の西行に抱いたイメージを展観。
 
第3部:西行物語絵巻の世界
死後百年たたずして編まれた『西行物語』をもとに作られた鎌倉時代から室町・江戸時代までの数々の絵巻物を、西行の生涯の節目となる場面を中心に紹介。
 
第4部:語り継がれる西行
桃山時代以降に、西行の歌に触発されつくられた絵画や工芸、能の演目などのほか、実像を離れ小説の中で自在に活躍する新しい西行の姿を掲載した江戸時代の出版物や、西行をテーマにした近代の絵画も展示。
こうした作品の存在は、過去から現在まで続く歴史の中で、西行の歌と伝説が多くの人に浸透してきた証しでもある。

五島美術館
特別展「西行―語り継がれる漂泊の歌詠み―」
会期
2022年10月22日(土)〜12月4日(日)
開館時間
10:00―17:00(入館受付16:30まで)
料金
一般1300円/高・大学生1000円/中学生以下無料
休館日月曜日
チケット https://www.bunkamura.co.jp/topics/6767.html
公式サイト https://www.gotoh-museum.or.jp
会場
五島美術館
住所
〒158-8510 東京都世田谷区上野毛3-9-25
050-5541-8600(ハローダイヤル)

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監修:全国寺社観光協会

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