観光庁「城泊・寺泊」令和2年度 実施報告書とナレッジ集公開!巻末資料に資金計画&事業計画書も

観光庁「城泊・寺泊」

観光庁「城泊・寺泊」

当メディア『寺社Nowオンライン』編集長も担当専門家として協力している観光庁の観光まちづくり事業「城泊・寺泊」の令和2年度実施報告書とナレッジ集が公開された。

観光庁は令和2年度より、日本各地に点在する城や寺院・神社を活用したユニークな体験型宿泊コンテンツ「城泊・寺泊による歴史的資源を活用した観光まちづくり事業」に取り組んでいる。今回公開された「実施報告書」は、昨年度公募で選ばれた全国各地の事業者による具体的な実施結果をまとめたもので、「ナレッジ集」は、これから城泊・寺泊の事業を検討している事業者を対象に、城泊・寺泊の立ち上げ、運用に必要となる情報や、事業運営の基礎となる事業計画書を作成するポイントをまとめた資料になっている。

観光庁「城泊・寺泊」

観光庁 令和2年度 城泊・寺泊による歴史的資源の活用事業について 実施報告書・ナレッジ集

コロナ禍にあってスタートした「寺泊」事業だが、担当の派遣専門家として各地の立ち上げ支援をサポートしている佐藤真衣氏(株式会社シェアウィング代表)と全国寺社観光協会企画室長で『寺社Nowオンライン』の和栗隆史編集長(大阪府立大学大学院経済学研究科)は、事業初年度を振り返る講評にあたって「寺泊」の意義を実施報告書の中で次のように語っている。

観光庁「寺泊」専門家

寺泊担当専門家:左)佐藤真衣氏、右)和栗隆史「寺社Now」編集長(画像は2020年8月、京都・仁和寺で開催された城泊・寺泊オンラインセミナーより)

佐藤「寺泊(宿坊事業)については、潜在的ウェルネスマーケットおよび観光産業の⼤きさ、地⽅創生や地域の安⼼安全など社会的意義、そして⽂化や歴史的貴重な資源の保全としての重要性の 3点から観光庁が掲げる「明⽇の⽇本を⽀える観光ビジョン」の中でも意義深い政策である」(実施報告書65-67頁)

和栗「コロナ禍にあってインバウンドは影を潜め、観光を取り巻く周辺環境は⼀変したが、全国各地に点在する既存の寺院宿坊はその多くが農⼭漁村に位置しているため、3密回避の観点からグランピングなどと並んで、全体的に集客も他ジャンルの宿泊施設に先んじて回復傾向にある。そうした意味でも、本事業が推進しようとしている「寺泊」は、もともとはインバウンドを対象とした事業として企画された経緯があるが、ウィズコロナ・アフターコロナの世界にあっては、当初⽬的のインバウンドに留まらず、国内需要を喚起するコンテンツとしても有効であり、より存在価値を増してきていると考えられる」(同68−69頁)

なお、令和2年度に「寺泊」の支援対象となったのは下記13地域であった。それぞれが事業計画書をまとめて宿坊の創設を基点とする観光まちづくりを構想している(実施報告書102-176頁)。当事業は令和3年度も継続され、まもなく今年度の公募が始まるが、政策に先行して宿坊の創設を応援してきた寺社Nowでは、オンラインメディアとなってからも引き続き「寺泊」の動向をフォローしていきたい。

【令和2年度「寺泊」事業による立ち上げ支援対象地域】

※標準地域コード順

▪群馬県千代田町:寶林寺(黄檗宗)
▪石川県加賀市:実証院(曹洞宗)
▪福井県大野市:圓立寺(日蓮宗)
▪山梨県南アルプス市:法源寺(日蓮宗)
▪山梨県身延町:武井坊(日蓮宗)
▪岐阜県安八町:覚成寺(浄土真宗本願寺派)
▪静岡県浜松市:方広寺(臨済宗方広寺派)
▪静岡県富士宮市:妙泉寺(日蓮宗)
▪滋賀県長浜市高月町:光明寺(真宗佛光寺派)
▪京都府綾部市:正暦寺(高野山真言宗)
▪京都府京都市:大泉寺(真宗大谷派)
▪京都府京都市立本寺(日蓮宗)
▪和歌山県那智勝浦町:海蔵寺(臨済宗妙心寺派)
▪和歌山県那智勝浦町:楞厳寺(臨済宗妙心寺派)

■関連ページ
観光庁「城泊・寺泊による歴史的資源の活用事業」
詳細は上記URL内「実施報告書」でご覧いただけます


【令和2年度「寺泊」実施報告書】

「城泊・寺泊」の取り組みを全国に展開する事を目的に、城や社寺を日本ならではの文化が体験できる宿泊施設として活用することに意欲がある事業者に対して、地域住民や自治体への理解・事業化を進めるための専門家派遣及び初動支援について、実施結果をまとめた資料

〈目次〉

報告書要旨
第1章 事業全体の概要
1.1 背景・⽬的
1.2 事業の内容
1.3 事業実施体制及びスケジュール
1.4 専⾨家について

第2章 城泊・寺泊の取り組みの周知
2.1 城泊・寺泊ランディングページの作成
2.2 城泊・寺泊による歴史的資源の活⽤セミナーの開催
(1)開催概要
(2)観光庁との事前協議
(3)セミナー開催の告知
(4)セミナー開催の準備
(5)トークセッションの内容
(6)アンケート結果

第3章 専⾨家派遣のエントリー
3.1 エントリーシートの作成
3.2 選定基準の作成
3.3 エントリーの告知
3.4 ⽀援地域の選定
3.5 ⽀援地域、専⾨家との調整

第4章 専⾨家派遣の実施
4.1 事前準備
4.2 ⽀援地域概要及び結果
4.3 フォローアップの実施

第5章 事業全体の考察
5.1 セミナーの実施について
(1)オンラインでの実施について
(2)トークセッションの内容について

5.2 専⾨家派遣について
(1)エントリーについて
(2)実施結果について
(3)ナレッジ集の作成について
5.3 専⾨家からの講評
5.4 今後の事業実施への提案

巻末資料
[1] オンラインセミナーアンケート
[2] ⽀援地域の事業計画書

 


【令和2年度「寺泊」ナレッジ集】

これから城泊・寺泊の事業を検討している方を対象に、城泊・寺泊の立ち上げ、運用に必要となる情報や、事業運営の基礎となる事業計画書を作成するポイントをまとめた資料

〈目次〉

1.はじめに
1-1 本ナレッジ集の位置づけ
1-2 城泊・寺泊の国内外の動向(事例の紹介)
1-3 城泊・寺泊の持つポテンシャル

2.城泊・寺泊実施までの主なステップとポイント
ステップ1 事業検討段階
(1)事業に取り組む前の整理
(2)事前確認における3つのポイント

ステップ2 コンセプトの検討
  (1)目的・ゴールの設定
  (2)ターゲットの設定
(3)運営形態の検討

ステップ3 事業計画の骨組みの作成
(1)事業スキームの検討
(2)資金計画の検討
(3)事業スケジュールの検討

ステップ4 コンテンツの磨き上げ
(1)コンテンツ造成のポイント
(2)情報発信のポイント




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監修:全国寺社観光協会

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