奥能登に日本の今がある。能登半島の先端に位置する石川県珠洲(すず)市。かつて、狼煙の灯台や見附島といった市内の観光地は、訪れる人でごった返し、旅館や民宿は大いに繁盛した。神社や寺の境内には、遊ぶ子供たちの歓声がこだました。ところが現在は、人口は半減し、少子高齢化が進む典型的な過疎の町となっている。半島を縦断する鉄道も廃線となり、観光的には地理的に大きなハンディを負っていると言えるだろう。当然、宿泊施設もほとんど壊滅状態だ。
そんな珠洲のまちで、500年の歴史を持つ乗光寺が庫裡を大改装して宿坊を開設したのは平成29(2017)年のこと。寺と、そして地域のために。
※本記事は【雑誌「寺社Now」30号(2020年3月発行)】を元に再構成したものです(情報は掲載時)