住職はプレジデント!噂の香川・眞教寺「萬燈宿坊&珈琲店」に泊まって学んだイノベーティブな経営マインド

ここまで見てきた眞教寺の改革は、寺院とは何なのか、誰のためにあるのか、を問い直した結果として生まれたように感じる。大切なのは
1.寺院が宗教活動に専念し、今後も存続していけるよう、別事業で収益を上げる
2.それら別事業を外部へ委託し、寺院は事業に直接関わらない
という2点を守ることだと言う佐々木氏だが、自坊の改革を通して感じる、地方寺院が今後も存続していくために必要なこととは何だろうか。最後に聞いた。

地方寺院の行く末は、数字の正確な把握がにぎる

「地域の寺院ほど、数字をしっかり見る必要があると思います。お布施は法要と葬儀それぞれの金額の違いまで、それから納骨堂の販売、墓地の販売と管理費。これらをどんぶり勘定でやっていると、気がついたらお寺の運営が大ピンチに陥っているケースは多いと思います。自坊も最初はそうでした。自坊のような地方寺院が今後も存続していきたいと思ったら、寺院に関する数字を把握し、収支を考え、門徒やお布施の減少率も計算して、このままだとあと何年後にどうなるかを理解し、将来へのビジョンを考えることは不可欠ではないでしょうか」

この作業はそれほど難しいことではないと佐々木氏。

「最低限必要なのはノートと電卓くらいです。寺院に関わる数字を洗い出して項目ごとに整理し、年ごとに書きだしてみると、変化が見えてきます。すると、その変化にどのような対策を打つかが考えられるのです。逆に言うと、状況把握が正確にできないと収益構造が見えず、対策も立てられません」。

中央が萬燈珈琲店、右が門徒会館と宿坊。左奥に見える伽藍山はかつて修験道の行者が修行をする山だった

眞教寺は、こうして変化してきた。10年計画以前からは想像もできなかった姿だが、「きれいになってよかった」とほとんどのご門徒さんが喜んでいる。そうした言葉を聞くたびに佐々木氏は、まちがっていなかった、取り組んで良かったと改めて感じている。

寺院は地域のもの。

地域の人たちからこれからも必要とされるためには、ただ闇雲に事業を始めるのではなく、全体を俯瞰したビジネスマインドで寺院経営そのものを見直すことが不可欠であることを、佐々木氏の眞教寺経営改革は教えてくれる。

「次の10年は、自坊を起点に宗派を超えて地域の寺院とひとつの輪になり、町を盛り上げていく一翼を担えるようになっていきたい」と展望を語る佐々木氏。この先、ビジネスマン住職の改革がさらにどのように地域へと広まっていくのか、寺社Nowは見守り続けていきたい。


真宗興正派 附谷山 眞教寺
住所:香川県高松市国分寺町新居852
電話:087-874-0725
HP

萬燈珈琲店
住所:香川県高松市国分寺町新居932-1
電話:087-899-7077
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監修:全国寺社観光協会

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